ものの見方を柔軟に変えリラックスして認知のゆがみを改善

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気分が落ち込む。

気分が落ち込むと、ものごとの見方に柔軟性がなくなって、視野が狭くなります。

人はふだんから、現実をありのままに見ているわけではなく、主観的なものの見方をしています。

それぞれの人なりのフィルターを通してものごとを見ています。このような、人それぞれの見方のことを「認知」といいます。

ひとつひとつの認知が、プラス思考でもマイナス思考であっても、現実とあまりずれていなければ、特に問題にはなりません。

ふだん元気な時は、冷静に判断し、気持ちにブレーキをかけたり、問題発生の際はいろいろ試したり、別の方法で解決しようとしたり、無意識でものの見方や気分を調節しでバランスをとっています。

不安でふさぎこむ女性。

 

しかし、ストレスが強くなり、気分が落ち込んだときには、考え方が狭くなり、気持ちに余裕がなくなって、現実の姿が見えにくくなり、マイナス思考になります。

失敗してもいつもなら別の方法を考えるのに、考えられない状態に陥ったりします。

アメリカの精神科医アーロン・ベックは、気分が沈むと悲観的になり、マイナス思考がさらに落ち込みを深めるという、抑うつ抑うつ症状と「認知のゆがみ」の関係に気づき、科学的に明らかにしました。

最近のストレス過多社会でうつに悩んでいる人が相当いると考えられます。あなたが「うつ」と言われると心にぐさりと突き刺さり、気弱になってしまうかもしれません。自分では気づかないうつのチェックをしてみてください。

自分では気づかない「うつ」~うつは誰もがかかる可能性がある

 

そして、そういうときにやわらかい頭にして、認知がより現実にそったものになるように修正していけば、抑うつ症状を軽くできるのではないかと考えたのです。

アーロン・ベック

【アーロン・ベック】

出典:日本認知療法協会

アーロン・ベックは、アメリカの医学者、精神科医で、うつ病の認知療法の創始者として知られる。1954年にペンシルベニア大学に加わり、現在ベンシルバニア大学の教授である。Wikipedia

ベックは、「うつ」の患者にどんな「認知のゆがみ」が起きやすいのかを研究し、柔軟な考え方をしていけるようにする方法を考案したのが「認知療法」です。

悪循環と認知と行動を変えて悪循環から抜け出す。

 

人は気分が落ち込むと、認知のゆがみが強くなります。「認知のゆがみ」にはいろいろな種類がありますが、よくある5種類を紹介します。

10年ほど前にうつ病と診断され、投薬と認知行動療法でかなり回復してきました。特に認知行動療法は劇的な効果があり、うつ 病になる前よりもある意味では健康になりました。そこで知りたいのはうつ病になったから認知の歪みが出たのか、それとも認知の歪みがあったからうつ病になってしまったのか、ということです。知恵袋

認知のゆがみの主な5種類

①全か無か思考・三分法のゆがみ

現実の物事に対して中間的に見ることができず、全ての問題を1か0か、白か黒かという三分法で考えてしまうため「完全に成功している、完全に失敗している」とか「気分が完全に良い、悪い」といった極端な考え方をしてしまう「認知のゆがみ」となります。

「完全に結果を出さなければ、やる価値がない」という不健全な思考になりやすいのです。

②過大評価・過小評価のゆがみ

看護師の私は、関心のあることは大きく捉え、自分の考えに合わないことはうんと小さく見えます。

落ち込みが続くと、失敗したことや自分の短所ばかりを思いだし、成功体験を忘れてしまいます。

「自分の欠点・短所・罪悪」といった否定的な部分を過大評価(拡大評価)して、「自分の利点・長所・成功・善行」といった肯定的な部分を過小評価してしまう。

「認知のゆがみ」で、「過大評価と過小評価」で物事を認知してしまうと、成功しても喜びや楽しみを感じることができなくなります。

③すべき思考のゆがみ

完全主義思考や理想化の欲求によって「絶対に○○しなければならない」「男は強くあるべき」「仕事は休んではいけない」などとする強い責任感に取りつかれてしまい「自分が○○したい」という自然な欲求や願望を見失ってしまう「認知のゆがみ」です。

自分に対する達成目標が高くなり、その「すべき思考」が優位になり、日標達成できないと、自己否定や自尊心の欠如、無気力になってしまうことになります。

看護師の場合は、「すべき思考」が強くなると限界がないので、高度な知識や技術の習得に成功したり、すぐれた成果や実績を上げたりしても、満足感や達成感を味わうことができません。

時間や仕事に絶えず追われ続けているような切迫感が強くなると同時に、完全主義の理想を満たせない自分自身に対する失望や無能感に苦悩することになり看護業務に支障をきたすことになります。

④ 過度の一般化のゆがみ

1回か2回起こった自分の体験を「次もそうなるに違いない」「私はいつも失敗する」という思い込みで過度に一般化してしまう「認知のゆがみ」のこと。

1度ミスをしてダメになったので、次回も必ずミスをしてダメになる」というように1度の経験をそれ以降の全てのミスヘと考えてしまう。そのため無力感や可能性の無視の原因となることがあります。

⑤ マイナス化思考のゆがみ

何でもないことでも、全て悪いことにすり替えて考える「認知のゆがみ」です。マイナス思考となります。

客観的な根拠や具体的な状況とは無関係に、全ての物事や他人の反応を自分の価値を否定する「悪い方向」へ解釈するため、いいことが起きても満足できなくなります。

看護業務の場合は、マイナス思考が強くなると、「患者さんの好意や愛情、信頼」を素直に受け取り感謝することができなくなります。人間関係を維持することが困難になります。

認知の歪みとストレスパターンの概略。

出典:ポジティブメンタルヘルス研究所

認知のゆがみはまだまだありますが、よくある認知のゆがみについて述べてみました。

これらの認知のゆがみに気づいて、ものの見方を修正していくことで、心も軽くなるのではないでしょうか。

リラックスして認知のゆがみを改善

抑うつ状態を改善させる「自律訓練法」とは?

自律訓練法は、19世紀初めにドイツの精神科医であったヨハネス・ハインリッヒ・シュルツが、催眠の経緯にもとづいて創案した方法です。

これは一種の自己暗示を段階的に行っていくことによって、自分自身でリラックスした心身の状態を得て、健康の回復から、維持増進を図ろうとするものです。

ヨハネス・ハインリヒ・シュルツ(Johannes Heinrich Schultz,1884-1970)は、ベルリン出身の精神科医でイエーナ大学で医学部教授を務めた。J.H.シュルツは日本では、心身医学的な自己催眠療法の一種である『自律訓練法』の創始者として知られており、日本の精神科医の成瀬悟策(なるせごさく)との共著で『自律訓練法(1963)』という本も上梓している。心理学事典のブログ

ヨハネス・ハインリッヒ・シュルツ

ヨハネス・ハインリヒ・シュルツ(Johannes Heinrich Schultz,1884-1970)。

 

日本では、1950年代に紹介されはじめました。

その頃は「自発性鍛錬」や「自生修練」といった表現をされました。1959年に成瀬悟策が「自律訓練法」という名前を使いはじめ、心理相談の中で、具体的な方法を紹介し、実践的な研究を行うようになりました。

自律訓練法にはさまざまな方法があります

ここでいう自律訓練法は、オーストラリアのメルボルンの心理療法家、アインスリー・ミアーズ博士が述べている自律訓練法の一部です。

緊張と不安は誰しもが経験しており、昨今のような複雑な社会では、当然考えられることです。

みなさんは今悩んでいる不安や緊張を、さほど深刻に考えていないかもしれません。仕事の疲れ、少しのイライラや単なる疲れといった程度で済ませているかもしれません。

家族や友人から「イライラしているよ」って言われたりすることもあるでしょう。

そんな時は自分自身も気づいていると思います。

頭から離れられない問題があり、仕事に集中できないで不安になることもあるでしょう。漠然とした恐怖を感じ、神経が緊張し、行動や話し方が不自然になり、寝付きも悪く、睡眠不足気味になってくるのです。

ストレスがたまると体のプロセスどうなっていくのか?

 

これらの述べた状態の一つか二つくらいは、誰もが経験しています。そしてこれらの状態が異常なこととは思っていないでしょう。

しかし、人によっては、自分で気づかない不安の症状に苦しんでいることもあります。

あなたの不安の原因とその症状が、いかなるものであれ、それに対処する方法はあるものです。このリラクゼーション方法は、「いつ」「どこでも」できます。

このミアーズ博士の自律訓練法を一部工夫し、職場でイライラする時、会議の前に緊張する時、自己紹介や朝礼等の発表で緊張する時、家族と喧嘩した時、震えが止まらない、なんだか落ち着かない時等々の患者さんにカウンセリング後に、この自律訓練法を伝授することもありえます。

自律訓練の姿勢&場所は楽過ぎないがベター

自律訓練法を行う時は、楽過ぎる姿勢をとらないことが大切。

ほとんどの方は、楽な姿勢をすればそれだけリラックスの効果も上がると思っているようです。ベッドなどに横たわれば早くリラックス状態になってください。

しかし内面的な緊張を取るには、余り効果は望めないと言われています。精神のリラックスを得るのが目的なので、身体的には少々不快な状態でリラックスを得ることが重要なのです。

例えば、リビングで椅子に座り、周りの雑音(テレビ。ラジオ等)生活音を聞きながら行う。

仕事中では、休憩室の椅子、屋上の椅子、また極端ですがトイレ(様式)の中や、公園のベンチ等少し居心地が悪いところでもいいと思います。

例えば、会議での発表に緊張して落ち着かせるために、会議の5分前に椅子に座り訓練を実践するということもおススメです

自律訓練の方法(単純椅子姿勢)

  • イスに座り軽く目をつぶりゆっくり呼吸します。
  • 頭の中で次のようなことをくりかえします。
  • リラックスしていることを感じます。

「私はリラックスできます。自分がみどりいっぱいの草原の自然の中で落ち着いている、楽になっています」まず身体をくつろがせることが大切です。

自分の足の筋肉に意識を向け、足から力を抜きます。

そうすればリラックスを感じることができます。

両足の筋肉の力がとれます。筋肉の力が抜けると、両足が重く感じます。足の重さを感じながら、全身に広がってゆくのがわかります。

両腕も筋肉の力が抜けてゆき重く感じます。

その感じは自然のままで、私たちをリラックスさせて、静かな気分の落ちつきをふたたび取りもどさせるものです。

両腕がリラックスすると、両腕が自分のものではないような感じがしてきます。

イスの中にだんだんと沈んでゆきます。

顔もリラックスし、眼の周りの筋肉もリラックスします。顔の筋肉の力がゆるんできます。

以上のようなことを頭のなかで自分に言い聞かせるようにしながら、この訓練を行ってください。

単純椅子姿勢。

自分の周りの状況や雑音などで、集中できない人もいるかもしれません。そういう雑音には、無関心になるように心がけてください。

「今、リラックスしている」ということを自分に言い聞かせるように練習します。もしこの訓練中、睡魔におそわれそうになれば、場所や時間を工夫しましょう。

居心地の悪い場所でも、眠気がくるということは、少し疲れが溜っているかもしれません。

このような自律訓練法は「5分」を目安に行ってください。

ミアーズ博士は、「心の状態と顔とは、もっとも密接な関係があり、顔を穏やかにすることを学ぶと、心がだんだん平静になっていく」と述べています。

まとめ

この自律訓練法をするにあたり、心得ていただきたいことがあります。

①あまりに早く効果を期待しない

早急に期待せずにゆっくりこの訓練を自分なりにマスターしてください。あきらめないで根気よく続けましょう。

②練習効果には波がある

その時の状態により波があります。はじめの練習がうまくいかなくてもあせらないことを、念頭において実行することが大切です。

これらの4項目について、自分にできるところから一度実践してみてください。

人によって向き不向きがあります。自分に何が合うのか分からない時は、心理カウンセラーの力を借りて見つけることも一つの方法ではないでしょうか。

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