中途採用看護師のやる気を引き出すドラマチックな関わり方

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る
やる気のある中途採用看護師の笑顔

中途採用看護師が部署に慣れたら毎日の仕事をこなすだけで、向上心がまったく感じられません。注意したら「業務がまわっていけば問題ないですよね。どうしろというんですか」と逆に言われてびっくりしてしまいました。

個人のやる気や考え方といった、具体的にチェックすることが難しい概念的なことについても、基本的にとるべき態度は同じです。やる気が「ある」、「ない」という単純な発想で区分けするだけでなく、そこからいったん頭を切り替えて「なぜそのような発言をするのか」、「なぜこんな行動をするのか」を考え、分析してアプローチすることが必要です。

中途採用看護師の思考を承認する

相手の考えを聞いて情報を得ること、相手の話に耳を傾ける行為は、その人の考えに関心をよせることであり、さらに「そう考えているのですね」と反応することによって、その人を尊重するかかわり=承認として効果的に作用します。

たとえば、中途採用看護師が何かミスをしたとしても、新卒看護師のように、緊張でわけがわからずにやってしまったということはまれです。それが正しいかどうかは別にして、自分の行動を選択した理由があるはずです。

それを「違います。こうやってください」だけでは、もちろん納得もできませんし、自分の考え方をまったく認めてもらえなかったという大きな失望と不信感を抱かせることにもつながります。

たとえ、誤った思い込みによるミスであっても、考え方を完全に否定される体験が繰り返されると、職場でのやる気は急速にしぼんでいくことでしょう。

やる気を引き出すためには尊重する

では、相手を否定しないでやる気を引き出すためにはいったいどうすればいいのでしようか。

「どんな場合にも成功します」という成功の方程式は存在しませんが、「それは違う」と頭ごなしに否定するのではなく、相手の考えに注目して、なぜそうするのか。なぜそう考えているのか。

という本人の考えを聞くための行動、具体的には「素直な問いかけ」をまずこちらから投げかけてみるのです。

現場の教育担当者の多くが、「どうしてそんなことをするのだろうか」と考えるだけでとどまっており、「どうしてそうしたのか」という理由や、「どう思いますか」という問いかけまでしていません。

やる気を引き出すには、自分の態度が相手を尊重するという印象を抱かせる態度になっているかを意識して、誠実に問いかけるという行動につなげることが必要です。

看護管理者がつい陥ることは?

  1. 部下にやる気がないと嘆く。
  2. 学習意欲に欠けると怒る。
  3. 自分とは異なる価値観は否定する。

といった中途採用看護師のマイナス面に目を向けてしまうことです。

たとえ、「就職してすぐなのに長期休暇の希望なんて……非常識だわ。無理よ」ということがあったとしても、マイナス面に執着することなく、そんな時期に休暇を希望する中途採用看護師の思いをうまくいかすことが大切です。

「それは部署のみんなにも協力してもらわないと難しいけれど、私もがんばってみるから、あなたもどんなことをしたらほかの看護師に協力してもらえるかを考えてみてくれますか」と、中途採用看護師の気持ちを否定しないかかわり方をしてみるのです。

それによって、反対されても絶対休みをもらうぞと、休暇のことだけに集中している相手の関心を、 どんなことをすれば仲間の協力を得られるかという、一段高いレベルの関心へとステップアップさせることが可能になります。

立派な仕事や学業の夢だけでなく、本音のやりたいことに対しても、考えを否定することなく、まず尊重してその次のステップを一緒に探すというかかわりが、価値観の異なる人々のやる気を引き出すのです。

看護管理者の行動でスポンサーシップを定着させる

最近では大学病院などの高機能病院から、もう少し余裕をもって働きたいと、うちのような規模の小さな病院を選び看護師が転職する人がいます。そんな中途採用看護師の教育担当になった看護師は、相当なプレッシャーを感じでいるようです。

中途採用看護師のもつ資質や能力を見つけて、それを守り、発揮できるような支援を提供するというスポンサーシップの考え方を定着させることは、看護管理者の重要な役割です。

受け入れ側には、「ニーズをとらえる力」「ケアする力」「協働する力」「意思決定を支える力」の4つの力が必要です。

看護実践能力の核として必要な4 つの力出典:日本看護協会

中途採用看護師の育成を成功に導くためには、小手先の指導方法を変化させること以上に、組織に根づいた「指導・育成」に対する組織文化をつくり変えていくことが重要です。

しかし、実際には中途採用看護師だけでなく看護における指導の多くが、できていなかったことを指摘し、気づかせ、それを修正させるというマイナスの強化によるものが圧倒的に多いのです。

中途採用看護師の不足している点を探し指摘する

その背景には、この事例のように受け入れる側が、「これをやってください」、「ここをもっと気をつけるといいですよ」という指摘やアドバイスを行うことこそが指導だと、思い込んでいるという面があります。

ですから、中途採用看護師の個性を理解していても、とにかく改善のポイントやどこか不足している点を探し出して、それを指摘するという行為をやらないと、ちゃんとした指導をしていると安心できない思いにおちいってしまいます。

しかし、実践現場での教育には多くの多様な学び方が存在するのです。私たちは、教育に関する正しい知識を得ることで、歪んだ硬直的な教育のイメージを修正することが可能です。

そのためには、現場での看護管理者や教育担当者の行動がとても重要になります。学習モデルなどを概念として学習しそれを覚えただけでは、実践現場の多くの看護師があらたな学び方を推進することは容易ではないでしょう。

指導する側の欠点や足りない点は、逆の発想をすればどんな強みとして指導にいかすことができるだろうか。そんな風に看護管理者に投げかけられた看護師は、教えられないことに対しての焦りや不安から、発想を転換して安定した気持ちを得ることができるかもしれません。

そして、自分の指導する中途採用看護師や後輩に対しても、場合によっては同じように考えてくれることがあるかもしれません。これは、価値の枠組みをいったん開放して発想を変えるというリフレーミングです。

リフレーミング(reframing)とは、ある枠組み(フレーム)で捉えられている物事を枠組みをはずして、違う枠組みで見ることを指す。 元々は家族療法の用語。リフレーミング – Wikipediaリフレーミング – Wikipedia

この思考法で現象に対する感じ方を柔軟にすることができれば、それによって喚起される行動も柔軟に変化し、新たな選択肢が生まれることでしょう。

「こっちが教えるだけでなく、相手に教えてもらうってことも考えてみたらいいんじゃない?誰かに教えるっていうのは、最も高いレベルの学習なんだよ」。そんな具体的な行動のアドバイスやヒントがタイムリーにもらえれば、受け入れ側の看護師が抱くプレッシャーもぐっと軽くなるでしょう。

現場でよりよい看護実践のために、もっとよくするにはどうすればよいかと知恵を絞り歩み寄って、「教える人」と「教えてもらう人」という単純な役割分担から開放されることが必要です。

そして、かかわった仕事がしっかりと成果をあげたとき、そこにかかわった中途採用看護師はたくさんの豊かな学びを得ているのです。このような、実践現場でこそ可能な豊かな学びの方法を、いろいろな場面で看護師受け入れ側に、ポジティブフィードバックとして投げかけるのが看護管理者の大切な役割なのです。

受け入れ側の看護師のやる気を引き出すかかわり方

中途採用看護師は部署の業務が忙しいなか、必死で指導してもあっさりと 看護師が退職してしまうことも多いです。それが繰り返されるような場合は、受け入祖側の看護師たちのやる気を保つことはとても難しいと思います。

多くの場合、受け入れ側にはそんなつもりがなくても、「教育には多少の厳しさは必要」、「すぐに動けるようになってもらわないと現場は困る」という受け入れ側の事情を優先させることで、中途採用看護師に多大なプレッシャーを与えてしまう場合があります。

離職を生む原因につながっていないか?

医療機関には看護部門が位置づけられ、組織内における運営組織の位置づけを明確にして看護の権限が明らかになり、運営組織の活動が円滑になります。

この事例に関しては、受け入れ側の看護師たちのやる気=モチベーションに注目すると同時に、その手前の中途採用看護師の離職を生む原因につながるようなかかわり方が潜んでいないかを、再検討する視点も大切になります。

というのも、受け入れ側の看護師のやる気看護師のやる気や達成感を左右する最も大きな要因は、中途採用看護師の指導という役割を十分に果たすことができているか、 うまくいっているかということにあるからです。

看護管理者や教育担当者は、中途採用看護師指導においては、さまざまなアプローチの仕方があることを繰り返し説明し、とくに、何かを教えなければならないという先入観を取り除くことが必要です。

たとえば、同じ内容でも表現の仕方と態度によって与える印象はまったく違ってきます。

「私には自分が部署でやっている手順とは違っているようにみえたのですが、どうしてそういうやり方をしたのか教えてくれませんか」

「今みたいな状況だと、手順どおりに進めるのはなかなか難しいと思いますが、実際やってみてどうでしたか。少しうまくいかなったところもあったようにもみえたのですが」

といった声のかけ方などを具体的に提示してみましょう。

次には正しい行動ができるようになることを大切にすれば、やり方はいろいろあっていいのです。どうして間違えたのかにお互いが気づいて、それを変えていかねばなりませんから、相手を尊重する声のかけ方が有効です。

また、自由な指導のやり方を確保されることで、伸び伸びと指導者役割を楽しむことのできる看護師も出てきます。

そのような行動を見つけて、「なるほどそういうやり方もいいねえ」、「よく工夫したね」、「相手のことを本当によくみているわねえ」と、すかさずポジティブフイードバックで強化するのです。

指導を担当する看護師が「これでいいんだ。うまくいった」と、自分で感じられる結果を得られるように導くことができれば最も望ましいのですが、必ずしも期待される結果が得られなくても、このように場面ごとのかかわり方や、取り組みの姿勢を承認することが可能です。

承認は受け入れ側の看護師のやる気を生み出す最も大きなエネルギーとなるのです。

望ましい具体的な行動を強化する場を意図して設定する

中途採用看護師への集合研修としては、同じ中途採用看護師同士で自由に意見交換ができる場を設定しています。職場ではなかなか思っていても言えないことがあるので、いいガス抜きになっているようです。
望ましい行動を強化するといえば、だいたい

  1. がんばる。
  2. 努力している。
  3. 苦労をいとわない。
  4. 手を抜かない。
  5. きちんと準備する。
  6. まじめ。

などの理想的な行動や考え方を基本にイメージしがちです。しかし、

  1. 弱音を吐く。
  2. 不満を言う。
  3. 感情を爆発させる。
  4. さぼる。
  5. 手を抜く。

といった、一見すると望ましくないように思える行動についても、柔軟にとらえることで強化すべきことがみえてきます。本音を語りあえる場を設ける

事例のような同じ立場の人が、自由に本音を語りあえる場を設定することは、正直な気持ちを表出してストレスを開放したり、そのなかから問題解決の糸口を見いだしたりすることができ、とても有用です。

よい場というものは、何も考えずに、人をでたらめに配置してもつくることはできません。その場を構成する人たちのコミュニケーションを促進できる能力をもつ人を意図的に配置し、落ち着いて話ができる環境を整え、時には会話を促進させる小道具を用意し、意識的によい場をつくる具体的な努力が必要です。

まとめ

「看護職一人ひとりがそれぞれの強みをいかしてできることをやる」

何かにずっと追い立てられる大きな焦りや、信じがたいほどのプレッシャーでなく、自信や安心、そして他人から支えられているという心強さと共に、看護という仕事ができたら。

豊かな教育力は組織の力を高め、組織の未来をつくる人を育てるのです。それを支えるのは、ほかの誰でもなくそこにいる看護師たちの決断力と行動力です。看護師はお互いの力によって、あらゆる困難を乗り越えることができるはずです。

※この記事を読まれた方は、ぜひ下記の記事も合わせて読んでみてください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。