中途採用看護師の教育に期待というデメリットを伝える訳

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中途採用看護師の教育

中途採用看護師でも、ブランクの長い人やほとんど経験がなく転職している人もいます。「それは説明してもらってない」、「一緒にやってもらえないとできない」という感じで、新卒看護師よりも、やる気がなく癖も強いので困ることがあります。

看護師の価値観の違いで転職、離職などトラブルになる

中途採用看護師にもさまざまな個性の人がいます。その個性を多様にしているのは、中途採用看護師のこれまでのさまざまな経験=キャリアです。

実際の現場において、受け入れ側の看護師との間にいろいろな問題を引き起こし、看護師の転職や離職といったお互いのメリットにならないトラブルに発展します。

看護環境の違いで受け入れる看護師の労力は大きい

この異なる経験に由来する価値観の違いなのです。中途採用看護師の教育にかぎらず、これまでの新卒看護師教育においても、サポートの大切さや個性を尊重することの重要性は再三強調されています。

しかし、実際の現場の環境を考えると受け入れ側の労力はたいへんなものがあります。

中途採用者 採用時部署における教育計画
H的:中途採用者が早期に職場過応し、定着できる
H標:
1. 部署は、中途採用者を仲間として受け入れられる風上をつくる
2. 中途採用者は、職場に溶け込み良好な人間関係が築ける
3. 中途採用者は、病院・看護部のH標・理念を理解でき、組織・部署の一員として自覚が持てる
4. 中途採用者は、自己の役割・責任を自覚し、個々のH標を持って看護ができる
※中途採用者とは、看護大学、看護短大、看護専門学校を卒業後他施設に就職したのち、当院に就職した人。(4 月採用者、年度途中の採用者) 日本看護協会

受け入れ側の看護師や指導にあたる看護管理者に、以下のような気持ちが生じるのは当然です。

  1. サポートが大事といっても、現実にはそんなことは無理
  2. 自分で選んで転職したのだから苦労は当たり前、やることやってもらう
  3. やる気のない人には何を言ってもムダになる
  4. 愚痴を言わずに黙ってやってくれればいい

こういった否定的な気持ちは、現場の忙しさや教育役割のプレッシャーなど、さまざまな環境要因から生じてくることを認識することが重要です。あるべき論で、「そんなことを言ってもしょうがないでしょう。

あなたたちがそんな考えでどうするの。がんばろうよl」だけでは、やがて行き詰るのは明らかです。

「そうよね……確かにそんな気にもなるわよね」と、まずは、受け入れ側の看護師や自分自身の思いを否定しないで、受け止めることからスタートしてみるのが賢明です。

「じやあ、私たちがやってほしいことだけをやってもらいましょうか」それではうまくいかないことを、どの看護師たちも実はよくわかっているのではないでしょうか。

大切なのは、あるべき論で無理やりがんばる指導の仕方を、緩やかでも確実に変えていくことです。「これはこうやってください」というやり方の指導自体は決して間違ってはいません。


出典:youtube

看護組織における運営側の部署と教育係り出典:日本看護師協会

就業初期にはやり方を確認して、ていねいに進めるという指導方法も必要ですが、厳しく結果を求める指導が有効になるのは、お互いの信頼関係を構築してからなのです。

いつでもどこでも理想的な結果を期待するのでなく、状況に応じて柔軟に中途採用看護師へ教育中途採用看護師へ教育の方法を変化させることが大切なのです。

厳しい指導をしても、今の時期にはきっと効果がないから、 もっと先になってから厳しいアプローチもしてみよう、 という冷静な判断が共有できるようになれば、受け入れ側の看護師たちが、一方的にがまんしているような負担感を、前向きなエネルギーに変えることができるのではないでしょうか。

否定でなく客観的評価の大切さ認め合う

中途採用看護師は、「それできます。やらせてください|」と言う場合でも、一人ひとりの経験や知識、技術のベースが大きく異なるので、実際は到達レベルが非常に低いということも生じます。

そのずれを修正するのには、多くの時間と労力が必要です。

中途採用看護師の能力と現場のズレが不慣れを解決する大元

このように、中途採用看護師は、それまでの経験に基づいて、自分自身の看護実践能力がどの程度なのか理解している場合があります。

その本人の認識が一般的なレベルと大きくずれている場合、あるいは要求するレベルとは大きく異なっている場合には、客観的評価を、中途採用看護師、受け入れ側の看護師、教育担当者、看護管理者がお互いに共有し、分かちあうことが必要になります。

繰り返し述べているように、新しい環境においてはあらゆることが不慣れなために、多くのストレスが生じます。それは、一見うまく適応しているようにみえる中途採用看護師にも、例外なく起こっていることを認識して対応することが必要です。

したがって、中途採用看護師に対する客観的評価に際しては、就業初期から半年程度に起こる自尊感情の低下によって、本人の強い反発(拒絶、否認、他人への攻撃)を引き起こすことも予想して、 とくに受け入れ側の看護師への細やかな説明や情報共有、看護管理者の考えを理解してもらうことに力を注ぐことが必要になるでしょう。

とりわけ、スキルアップを目ざして転職をしてきた仕事一筋ともいえるようなタイプの場合は、仕事上の出来事が自尊感情に与える影響が大きいので、できるだけ中途採用看護師本人の目ざしている目標と、現状を現実的につなぐ作業を共にしていくことが必要です。

「あなたができると思っていても、それはできるというのとは程遠いレベルなのよ」という否定から入ってしまうと、相手は現状を受け入れることができなくなります。

それは、自分を守ろうとする人間の通常の心理です。

ですから、「そのレベルを目ざすのであれば、今は、このスキルを身につけることが必要だと思うけど、あなたはどう考えますか」、「ここはバッチリだけど、この部分はもっと強化することを考えてみてはどうかと思うけど、自分ではどう感じていますか」といった言葉を、看護管理者や教育担当者から発信していくことが有効です。

中途採用看護師本人の意向を引き出しながらであれば、客観的評価の効果を十分に活用できます。逆に、相手を否定する材料としても、客観的評価ほど強いものはありません。

だからこそ、看護管理者が受け入れ側の看護師たちに繰り返し説明し、客観的評価がお互いにもっとよくなるにはどうすればよいかという視点で、それを分かちあうという態度を強調する必要があります。

できないな看護師こそキーパーソンになる

中途採用看護師に温かな支援ができる看護師もいますが、「あれもできない」、「これもできない」と悪い評価しかしない人がいます。そういう言動はほかの看護師にも悪影響を及ぼしています。どうやればこういう人を変えられるのでしょうか。

新しい職場への適切な判断能力が影響される

「師長さんには本当によくしていただいたのですが、でもあの部署ではもう働けません」と言い残して退職する中途採用看護師が過去にいませんでしたか。

指導される立場からみれば、たった1人のネガティブな態度でも「どうせ何をやっても嫌味を言われるだけ」、「あの人がいるかぎり状況は変わらない」と、部署への足を遠のかせることがあります。

中途採用看護師であれば、前の職場がどんな雰囲気だったのかで、その判断も大きく影響されます。

自分が受け入れる立場だったときのことを考えると、これからの状況の改善は期待できないと考える看護師も少なくないのかもしれません。

多くの場合、指導している側には相手をいじめているつもりはまったくありません。「専門職なのだから厳しく指導しなければならない」、「怒っているのではなく、教育だ」、「そうは言っても現場は困るんです」、「私もこうやって育ってきた」、などいろいろな理由で、受け入れ側の看護師たちは自分なりのやり方での指導を続けたがります。

「そんなやり方で甘やかすとよくない」、部署にそういった考え方をして、新しいメンバーヘのサポートに非協力的な看護師がいれば、周りの看護師たちは必ずその人の影響を大きく受けてしまうものです。

最悪の場合には、看護管理者のかけ声とはまったく別に、1人の看護師のネガティブな考えが部署のムードを支配してしまい、解決に向けた対策がとられることなく、退職者ばかりが増えていくという悪循環におちいることがあるのです。

そして、そこでいつも繰り返されるのは、「中途採用看護師の指導は難しい」という言葉です。人間には、認知的不協和という心理的なメカニズムがあります。うまくいかないことを自分以外の要因のせいにするのは、人間の大きな特徴なのです。

「忙しかったから」、「たまたま就職してきた人が未熟だった=できの悪い人だった」といって、自分たちのやり方や考え方は常に大丈夫と思っていたいのです。

確かに、中途採用看護師はそれぞれの多様な経験をもった個性派ぞろいです。しかし、受け入れる側の態度そのものを、もう一度真摯に受け止め、どうすべきかを考え直さなければ何も変わりません。

こんな悪循環をなんとか食い止めたいと思う一心で、「こんな事例があったので、悪い態度をしている人は、やめてください」と欠点を指摘して、行動の変容を迫るだけではかえって逆効果になります。

集団のなかで特定のやり方を非難するマイナスの強化は、まず間違いなくうまくいかないと覚えておきましょう。

ある考え方は間違っているという判定会議をしても、誰かのプライドを傷つけてしまい「私のことを全然理解してくれなかった」という根深い不満を残すことになってしまうのです。

どうサポートするかを共に考える

中途採用看護師をサポートするといつても、そういう考え方に慣れていない受け入れ側の看護師が多いせいか、自分がやらなければという姿勢にはなかなかなつてくれません。

病棟も忙しいので、いつも私が掛け声をかけるだけになつてしまいます。

リアクタンスをなくす言葉を避ける

看護管理者や教育担当者は、判断や批評をするのではなく「新しい仲間が私たちに溶け込んで、伸び伸びと仕事ができるにはどうやってあげたらいいだろうか」、「みんな自分だったらどういう風に受け入れてほしいか」という、率直で前向きな意見交換のための問いかけをして、受け入れ側の看護師たちの気持ちを揺り動かすことから始めてみましょう。

人には、「絶対に○○しなければならない」と自らの意思決定の自由を奪うようなメッセージを送られると、無条件に指示に逆らいたくなり、抵抗感が生まれ、まったく逆の行動をとるという特性があります。

これは「心理的反発=リアクタンス」と呼ばれています。新卒看護師であっても、ベテラン中堅看護師であっても「自分に決定権がまったく与えられず、ただ言われたことに従うだけ」であれば、やる気が出るはずがありません。

中途採用看護師を受け入れている看護師たちが、指導の現状や離職状況などについてどう感じているかを把握することは、モチベーションを育てるために欠かせません。

そのためには、どのような意見でも、看護管理者や教育担当者ははぐらかしたり、問題をすりかえたり、自分の意見を言って終わるなどのリアクタンスの元になる「落とし穴」を避けてください。

注意深く「落とし穴」をよけて、まずしっかりと相手に「どう思っているのか」を真剣に問いかけ、出てきた意見を全身全霊で聞きましょう。その姿勢は、受け入れ側の看護師たちに看護管理者や教育担当者が自分たちの意見や大変さを理解し、実感をもって受け止めようとしていることを気づかせることになります。

その態度によって、受け入れ側の看護師たちは「私は否定されているのではない」、「違う意見でも無視されて一方的に押しつけられはしない」と感じ、組織や部署における自身の存在意義を再確認することができ、リアクタンスを避けることもできるはずです。

そして次の段階では、最初に受け入れ側の看護師に「こうしてほしい」と要求する前に、「私はどうやったらあなたを少しでもサポートできるのでしょうか」という態度を、看護管理者が示してみせることが必要です。

看護管理者自らが、異なる意見をもつ看護師たちのエネルギーや、正直な実感を否定しないことこそが、次の「ではどうやっていけば、いろいろな個性をもつ私たちの仲間がここで気持ちよく働けるのか」を本気で考え行動していくことにつながるはずです。

このように、組織文化を変革させる際には、看護管理者や教育担当者はただ行動を修正しろと迫るのではなく、受け入れ側の看護師の意見をしっかりと身体ごと受け止め、お互いの意見の違いや異なる考え方を乗り越えて、進むべき方向への具体策に協力してもらえる土壌をつくることが大事な使命なのです。

心理的リアクタンス

心理的リアクタンスとは、人が自分の自由を外部から脅かされた時に生じる、自由を回復しようとする動機的状態のこと。ブレーム,J.W.により提唱された。説得者の意図した方向とは逆の方向に被説得者の意見や態度が変わることを、ブーメラン効果と言うが、この現象の生起メカニズムを説明するものとして、心理的リアクタンス理論は最も有力なもの。つまり、高圧的な説得を受けると被説得者は自分の自由が迫害されたと感じる。その結果、自由を取り戻そうとする行動として、説得 方向とは逆の方向に態度を変えるというものである。
http://www.1-ski.net/archives/000212.html

看護師が自ら判断し行動し人材を育てるためには?

新しい環境に馴染むには一定の期間が必要であり、 うまく適応できているようにみえる人でも、さまざまな戸惑いや疎外感、違和感、不安などを感じながら仕事に取り組んでいます。

しかし、時間の経過とともに環境にも慣れ、周囲からのサポートを得ながら、徐々に自信を取り戻してくるときがやってきます。個人差もありますが、だいたい入職後半年頃が、新しい環境に慣れるという段階から、その次の段階に移行する1つの目安になるようです。

中途採用看護師への教育の計画立案

ゴールを共に考えることが中途採用看護師の人材育成

これまで、とにかく新しい環境に慣れることがいちばんのゴールだった中途採用看護師は環境に慣れるにしたがって仕事のなかで新しい次のゴールを目ざすことになります。

それを受け入れ側の看護師と共に考え、つくっていくのですが、ここからが、中途採用看護師の人材育成を考えていくうえで本当に大切な時期だといえるでしょう。

職場に慣れてくると、たとえば「来月はこれだけは休みにしてください」と家庭の事情を全面に出して数え切れないほどの勤務希望を出す人、「そんなことでなくもっと重要な役割をさせてほしい」とやたらに重要人物になりたがる人、あっという間に部署での絶大な信頼を得ている人など、中途採用看護師1人ひとりのライフスタイルや価値観、看護師としての実力がはっきりと現れ、自己主張が行動として示されるようになります。

「だから中途採用看護師は難しい……」と、看護管理者が頭を悩ますのも、このような強い個性が表出するこの時期ではないでしようか。

この時期からは、何よりも、中途採用看護師本人のやる気を引き出し、多様な個人の欲求を、組織が個人に期待する目標とすりあわせ、調整していく看護管理者のかかわりが欠かせません。

「とりあえず慣れて仕事をこなしてもらえればいい」、そんな発想の看護管理者や教育担当者のもとでは、看護師たちがそれぞれの明確な目標を見いだし、自ら努力する職場の実現はとうてい望めないのです。

中途採用看護師の豊かな個性をいかすには?

初期の職場適応をなんとかクリアしたこれからが、看護管理者の総合的な指導力が本当に問われる時期になります。

1人ひとりの意欲やこだわり、家庭の事情、それらのすべてが中途採用看護師の個性です。その豊かで強い個性をプラスの要素としていかすのか、扱いにくいマイナスの条件として制御しようと奔走するのかで、看護現場の雰囲気や部署全体のモチベーションは大きく異なってきます。

強い個性の中途採用看護師に対して、やる気を引き出しその能力を活用するには、中途採用看護師本人の関心や考えそのものに焦点を当てることが必要になります。育成する側が望む姿を相手に求め、欠点を修正するこれまでのやり方を軌道修正しなければなりません。

つまり、看護管理者や教育担当者は、中途採用看護師が受け入れ側に何を期待しているのかを知ることによって、相手のモチベーションを引き出していくのです。

そのためには、中途採用看護師の「わがまま」や「理不尽な要求」にみえるような期待に対して、 どのようにかかわればよいのかという具体的な内容を知り、それを1つひとつの状況に応じて実践することが欠かせません。

この頭の切り替えを実践できなければ、おそらくあなたの職場に今後、 よい変化は起こらないでしょう。

指導のポイントは欠点修正ではなく全体バランス

中途採用看護師の場合、それまでの職場で間違つた知識や変な癖を身につけてしまっている人が少なくありません。経験があり自分に自信がある人は、間違いを修正してもらうのも難しくて困ります。

「できないのにプライドが高くて聞く耳をもたない」、「間違った知識を指摘してもそれを認めない」こんな中途採用看護師をどうやって指導したらいいのかを悩んでいるケースは少なくありません。

多くの場合は、「そこは間違っていますから直してください」という感じで、欠点を修正するというやり方が通常のかかわり方になります。確かに、間違ったことを正したり、欠点を修正したりすることはとても大切です。

しかし、中途採用看護師の能力をいかすということを考えるならば、苦手を克服するよりも得意なことを強化するほうが圧倒的に効率的なのです。

強みをいかすかかわり方というのはよく強調されることですが、では具体的にどうかかわればいいのかについての情報は乏しく、結局、実際の現場では「欠点を指摘する」というやり方が選択されがちです。

新人看護師とは異なり、中途採用看護師の知識や癖、具体的に身についていることの1つひとつには、その人の看護師としての経験が集約されています。「それ違います。

このようにやってください」という何気ない言葉で、看護師としての経験を否定されたように感じてしまうことも少なくないのです。また、これまでのやり方をリセットして新しいやり方に変える作業は、言われたからといって簡単にできるものでもありません。

ある程度の年齢を重ねた経験者であればなおさら難しいものです。そして、これらを他人に指摘されることは、それが正しいかどうかに関係なく、本人にとっては「心地よく」も「うれしく」もありません。

このようなマイナスのフイードバックは、やがてお互いの関係性に根強い不信感を生み、やる気だけでなく、部署の穏やかな空気や、お互いにサポートしあう雰囲気まで、根こそぎ台なしにしてしまう危険をはらんでいます。

まとめ

不十分な部分に関心を集中するのでなく、全体バランスで考える視点が欠かせません。つまり、苦手なことは××、それをカバーできる得意領域は○○といった、中途採用看護師本人についての強み。弱みを、全体としてみたときにどうかという視点から常に把握することなのです。

同時に、共に働く所属部署の看護師たちとの全体バランスを考えることも大きな意味をもちます。そして、このような全体的な指導計画を考える
には、病棟師長を含む複数の看護師によるチームで、現状を評価して総合的な調整を行うことが必要になります。

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