中途採用看護師復職のために職場で働くための準備

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中途採用看護師との面接

中途採用看護師の入職が決定後、看護部長もしくは採用担当師長は、受け入れ部署の看護管理者や教育担当者に中途採用看護師の経験や教育背景などの情報を提供し、オリエンテーションの準備や勤務表作成に力を注ぐよう指示するのが通常です。

しかしながら、中途採用看護師を迎え入れるための施設側の準備だけでなく、中途採用看護師が職場に入り活動を始めるための準備に対してサポートすることも重要な業務です。

まずは、中途採用看護師の入職に対する思いや期待と、施設側の期待を調整するを解説していきます。

これをていねいに行うことによって、「こんなはずじゃなかった」、「こんなに大変だなんて聞いていなかった」という入職後のギャップによる失望や落たん、ストレスを防ぐことができるでしょう。

中途採用看護師の新しいキャリアにポジテイブなイメージを与える

次に、これから新しいキャリアを歩む未来に、少しでもポジテイブなイメージを抱けるよう、本人の思いを積極的に聴き、それに対する温かいメッセージを送ることも必要です。そして、中途採用看護師が自分のペースで、新しい環境への準備ができるよう必要な情報を提供することが非常に大切になります。

また、中途採用看護師を新しい仲間として受け入れる組織文化づくりに力を注ぐことが必要です。入職前に中途採用看護師教育について受け入れ側の看護師たちと共通理解が得られれば、指導の統一がはかられ、中途採用看護師だけでなく、受け入れ側の不安も解消されることでしょう。

中途採用看護師への研修への感想文出典:手術室看護師 接遇実践レクチャーのご感想|接遇研修のラ・ポール

これは組織づくりという大きな課題を含んでいるので、先々改めて詳細に取り上げます。

中途採用看護師に接する看護管理者の対応次第

自らのスキルアップや家庭の事情など、中途採用看護師の転職の目的はさまざまですが、新しい職場で働くことへの不安や緊張を、前向きな気持ちや職場へのよいイメージにつなげるのは、最初に中途採用看護師に接する看護管理者の対応次第なのです。

採用画接時に本人の思い・考えをしっかりと把握する

中途採用看護師の超早期離職が増えるなか、採用面接時に、中途採用希望者の話をきちんと把握しようと、「これはできますか」、「これはどうでしょう」と細かく質問し「確認」している組織もあるでしょう。しかし、それは中途採用希望者のことをイメージしているのではなく、多忙な病棟でこの人はどの程度働けるかを知るための質問になっていないでしょうか。

中途採用看護師の経験情報出典:東京労災病院看護部

面接を受ける側としてみれば、施設側から期待されている能力や仕事の内容がどの程度のことをさしているのかがわからず、実際に働いてみると、実践能力の程度に関するお互いの理解がずれていたという場合がよくあります。

定着促進と能力活用のために

また採用面接時では、業務に必要な技術ができるかできないかの話だけになってしてしまい、この中途採用希望者が今、何に価値をおいて就職を希望しているのかを聞く余裕も時間もないのが実情でしょう。施設側の事情により中途採用看護師を即戦力として雇用することはやむをえません。

しかし、中途採用看護師の定着は本人の意向を無視しては成立しないことを意識することも必要です。定着促進と能力活用のためには、まず中途採用看護師の多様な特性を柔軟にとらえることが重要となります。

それには、1人ひとりの看護師の看護実践能力の査定や勤務条件の確認、施設側の要求の提示だけでなく、個々のライフスタイルや将来設計も含めた仕事に対するさまざまな考えを、問いかけ引き出すことがポイントとなります。

たとえば「ここで循環器看護をしっかり学ぶために就職したい」や「家庭の事情で定時に帰らなければならないので、ばりばり働くよりも指示された仕事をきちんと時間内にこなすことを大切にしている」など、個々の仕事への価値はさまざまです。

これをていねいに引き出し、尊重する態度を相手にわかるように示すことが、中途採用希望者の信頼につながります。

採用面接時は通常、机をはさんで対面で行われますが、この形式は面接される側にとっては非常に脅威と感じます。ただでさえ緊張下におかれている中途採用希望者をさらに緊張させないよう、対面ではなく机の角をはさんで90度に座り、緊張をほぐすように話しかけてはどうでしょうか。

そうするだけで、中途採用希望者は今おかれている現状やこれからの働き方、採用希望の理由などについて、日を開いてくれるかもしれません。さらに、たとえば、

「私の病院は今こういう状況で、みなさんの力を借りたいと考えています。あなたは過去の経験から、ここでどのような力を発揮できるとお考えですか」

「あなたのこれからのキャリアを考えると、このような側面を強化されるともっと強みが広がると思いますが、この病棟でこんなことをやってくださいませんか」

「私はこう考えていますが、あなたはどう思われますか」

など、日の前にいる中途採用希望者の力になりたい、そして私たちと共に働いてほしいというメッセージを表現することを意識すると、これまでとは異なる情報が採用希望者から聞き出せることでしょう。

これによって得られた多面的な情報に基づいて、受け入れる施設側の期待と採用希望者の期待や要望を整理し、異なる点と共通する点を明確にして可能なかぎり調整します。そうすることで、お互いに最も適した働き方を探っていくことができ、中途採用看護師の能力を開花させる土壌が生まれてくるのです。

中途採用看護師に対する施設側の期待を明確にする

採用が決まると、看護管理者はどんな業務で力を発揮してもらおうかとイメージが膨らみます。そのため、「あれもやってもらいたい」、「こんなことも実現できればうれしい」と今後の夢を語り、最後に「一緒にがんばりましょうね」で締めくくられることがよくあります。

しかし、中途採用看護師にしてみれば、「ここに入ったら、 どんどん使われそうだ」、「看護部長の夢はこの施設では実現可能なのだろうか」と、不安や戸惑いが生じているケースも多くみられます。

施設側の長期人員採用計画

今後のビジョンを語ることも大切ですが、抽象的な夢ではなく、現実的にどのような展望があるのか、それに向かって現在何に取り組んでいるのか、そのなかで中途採用看護師はどのように施設に貢献できるのかがみえるように、施設側の期待を具体的にわかりやすく示すことが必要です。

参考:看護師等の人材確保の促進に関する法律

法律 厚生労働大臣は、全国を通じて1個に限り、中央ナースセンターとして指定することができる
【第20条】
都道府県知事は、都道府県ごとに1個に限り、都道府県ナースセンターとして指定することができる
【第14条】
指定先 日本看護協会 都道府県看護協会
名称 日本看護協会は、中央ナースセンターの指定を受け、主に都道府県ナースセンター業務の支援について、上記法律に定められた業務を実施している。【第21条】 47都道府県看護協会は、都道府県ナースセンターの指定を受け、主に各都道府県における看護職員の確保について、訪問看護の事業について、上記法律に定められた業務を実施している。【第15条】

出典:日本看護協会

たとえば、以下の項目について看護管理者は自らの施設の方針を把握し、その内容を可能な範囲で中途採用看護師と情報共有し、そのうえで中途採用看護師の希望と折り合いをつける作業が必要になります。

  1. 長期の基本的人員採用計画
    看護師が不足しているからほしいという漠然とした理由でなく、何のためにどんな人材をどれだけ必要としているのか、それを実現するためには、新卒看護師と中途採用看護師の比率は理想的にはどの程度と考えるか、などの計画的な将来の見通し。
  2. 看護師の確保と定着の戦略
    賃金、福利厚生、勤務方式、PRを含めてどう考えるのか。
  3. 中途採用看護師を採用する必要性
    新卒看護師ではなくあえて中途採用看護師を迎え入れて、何を実現させたいと考えているのか。
  4. 施設の現状
    地域特性、人的資源への投入予算、他部門との連携、職員および採用希望者の分析、自施設の人材確保における強みと弱み。
  5. 受け入れ側の看護師の考え
    受け入れ部署はどんな職場にしたいと考えているのか。
  6. 中途採用看護師に対する教育、指導、支援の具体的内容
  7. 中途採用看護師教育を引き受けるうえで、どのような支援体制をとっているのか
  8. 受け入れ側部署としての支援体制は何か。
  9. 受け入れ側の看護師
  10. 看護管理者、教育担当者などの果たすべき具体的役割は、どんなことをしなけねばならないか。

上記の項目について説明をしたうえで、中途採用看護師にどのような力を発揮してもらいたいのかを、看護管理者自らの言葉で語りかけることが必要です。

中途採用看護師の思いと施設の思いの折り合いをつける

中途採用希望者の仕事に対する思いやこれからの働き方をじっくり聞き、この施設に就職したらどのように働きたいかをていねいに話し合うことができているでしょうか。また、自施設のビジョンと採用理由、この施設で発揮してもらいたい能力について、相手の理解を得られているでしょうか。

次に、それらを文書として互いに共有することを提案します。というのも、「面接で看護部長と勤務時間の条件について、了解を得てもらったのに、病棟に入ったら、何も聞いてないと言われた」、「こんな話、聞いていない」、「こんなことをするために就職したのではない」など、採用前の合意形成がなされていないことによるトラブルがよくあるからです。

可能であれば、採用前に採用希望者側の希望と受け入れ部署側の希望を用紙に書き出して話し合い、基本的な合意点について書類を作成するとよいでしよう。これによって、中途採用看護師は「私の考えや希望をちゃんとていねいに扱ってもらえた」という思いが強くなり、信頼感が高まります。

また、文書に残すことによって、看護部長や採用担当者から受け入れ部署への申し送りのずれがなくなります。このように、採用前から受け入れ施設・部署が意識して中途採用看護師との信頼関係を築くことは、入職後の信頼へと強くつながります。

中途採用看護師の情報をどこまで共有するか

中途採用看護師の強みや経験を存分にいかし、施設に還元してもらうためには、とくに初期に施設への適応をはかることが重要です。同時に、すべての受け入れ側の看護師の協力が必要不可欠であり、看護管理者はそのことを認識し、看護管理者から病棟に働きかけることが必要になります。

それを可能にするためには、中途採用看護師教育において必要な情報を共有することが必須要件としてあげられます。新人看護師や中途採用看護師の入職の際は、配属部署に名前と年齢、教育背景、出身地などが伝達される場面が多くみられます。

しかし、中途採用看護師がなぜこの施設を希望して面接を受けたのか、看護職としてどのような目標をもっているのか、家族構成や私的に優先したい事項などが部署に情報提供されることは、非公式でなされても、公式な場で行われることが非常に少ないようです。

そのため、受け入れ側の看護師は、 どの程度のスキルや経験をもった経験者が来るのかがみえないことから、どのように接したらよいのか、 どの程度意見を言っていいのかがわからず戸惑います。その結果、不必要にやさしくしたり、逆に「経験者ならこれくらいできて当たり前。こうあるべき」という押しつけたフイードバックだけしか返せないケースがよくみられます。

また、「あれもこれもできない」とできないことを指摘するだけで、中途採用看護師への指導が展開されてしまっている場合もあります。だからといって、看護管理者が採用面接時で得た採用希望者の要望や経験などを本人の許可なしに、受け入れ側の看護師全員に伝えることは、個人情報保
護の観点から手放しで推奨できることではありません。

慎重な取り扱いと本人の意向の確認が必要です

採用面接時、 もしくは採用前に、中途採用看護師に対し「あなたの考えや過去の経験について、さしつかえなければ病棟看護師と共有して、あなたをサポートしていきたいと思います。もしこれだけは困るという点があれば、遠慮なくおっしゃってください」と、情報共有について許可を得ることが重要です。

何のための個人の情報共有かが理解できれば、中途採用看護師の理解も得られるでしようし、選択する権利を中途採用看護師にゆだねることで、相手からの信頼を得ることにもつながるはずです。

迎え入れる気持ちをメールや手紙で表現する

採用決定から入職までの期間、たとえベテラン中途採用看護師であっても多少の緊張状態におちいります。臨床経験のある中途採用看護師であれば、現場のイメージがつきやすいことから、少しでも必要な情報を得て、疾患のおさらいをするなど事前準備をするという行動につながることがあります。

しかしながら、「未知の環境」、「1から始める人間関係」、「下手に経験していることが弊害にならないか」など、不安があることは新卒看護師と同様です。そのような中途採用看護師に対して、「受け入れ部署の人間関係はこうで……」と1つひとつ説明するよりも、「あなたを待っています」、「あなたと一緒に私の病棟をもっとよいものにしていきたいと考えています」と歓迎のメッセージを送ってはどうでしょうか。

中途採用看護師の不安や緊張は安心感に変わる

このちょっとしたサプライズは、中途採用看護師の不安を軽減することにつながるかもしれません。ここで重要なことは、中途採用看護師の存在を承認するメッセージを、言葉で具体的に表現し伝えることです。それによって、中途採用看護師の不安や緊張は安心感に変わることでしょう。

また、「待っていますね」というメッセージと共に送りたいのが、実際に部署で使用している学習資料や、病棟看護師が活用している参考図書などの紹介です。疾患や特徴的な症状のリストを送るだけでも十分な事前情報となりうるでしよう。

このときに忘れてはいけないのが「少しでも部署のイメージがつけばと思い、資料をお送りしました」といったメッセージです。長い文章をそえる必要はありません。一筆箋やポストイットなどに直筆で書かれた短い言葉だからこそ、中途採用看護師の心に響くこと間違いないでしょう。

組織文化に対する適切な予備情報を提供する

何が大切にされているか、どんな約束事があるのかといった組織文化に関連した情報は、部署や施設によって大きく異なります。明るいいいムードをつくるためにあいさつを大切にしている部署もあれば、人間関係を良好にするためにニックネームで呼び合うことをよしとしている部署もあります。

このような組織文化は、マニュアル化されたものではないため、それを外部からきた中途採用看護師がつかむのは簡単なことではありません。しかしながら、組織に所属する一員として実際に業務を遂行するうえでは、想像以上に組織文化から大きく影響を受けることが多いため、スムーズな職場適応のためには組織文化は無視できない要因なのです。

そのため、この組織の文化に関する情報を、中途採用看護師にストレスを感じさせない程度に、採用前後に伝えることは1つのポイントになります。

採用前であれば、たとえば「うちの病棟はフランクな人が多いから、明るく元気に笑顔で来てくださればうれしいです」や「髪型やユニフォームをきちんとして、専門職として清潔であることを重視したいので、髪はきちんとアップにして、肌色のストッキングをはいて来ていただけますか」のように、初日の振る舞い方について事前情報を伝えておくと、中途採用看護師が初日につらい思いをすることは激減されます。

また採用後は、折にふれ「過去のカルテを探すときには、カルテ室の○○さんに聞くといいから、今度一緒に行って紹介しますね」、「正直、うちの師長さんってこわいって有名なんだけど、ちゃんと筋の通った話は聞いてくれるから、攻略法としては……」、「内科の○○医師は指示の出し方にこだわりがあって……」

など、業務を効率的に遂行するためのこつを伝えることも中途採用看護師にとっては心強い情報となります。

しかし、これらの情報提供の際に「これに従ってもらいます」という姿勢でなく、施設や部署の特性を理解して、中途採用看護師の能力を発揮してほしいというポジテイブなメッセージをしっかりと表現することと、あくまで中途採用看護師の組織への適応を促進することが主目的であることを忘れないでください。

受け入れ側の看護師に組織のビジョンをていねいに説明する

中途採用看護師に直接かかわる受け入れ側の看護師が、適切なかかわり方を統一して実践できるためには、看護管理者がビジョンをていねいに説明することがまず必要です。

「みんなでがんばろう」や「みんなで育てよう」は平易な言葉で一見わかりやすいように感じますが、ではどこを目ざしてがんばるのか、 どうやって育てるのかが個々のイメージにまかされてしまいます。シンプルで明確な方向性を示して、受け入れ側の看護師全員が力を結集したいものです。

そのためにも、先に提示した項目について看護管理者は自施設の方針を把握し、その内容を受け入れ側の看護師たちと情報共有することが出発点になります。

指導者の自信を生みだす管理者のメッセージ

情報が整ったうえで、中途採用看護師に対してどのように指導をしてもらいたいのか、 どのようにかかわってもらいたいのかを、看護管理者自らの言葉で語りかけることは必須です。

さらに、中途採用看護師のプリセプターもしくは教育担当者に対して、なぜこの役割に任命したのかの理由や「私はこの病棟や施設をこうしていきたい。今度採用の○○さんのこの能力と実績を高く評価していて、それを発揮してもらいたいと考えています。

その指導役としてあなたは○○さんの指導がていねいにできると思っています。私もフォローするから病棟をさらに発展させていきましょう」など、ポジテイブなフイードバックや期待を言葉で伝えることが、指導者の自信を生みだす一歩となります。

このように、看護管理者としてどうしていきたいのかというビジョンが提示されることによって、受け入れ側の看護師はよりどころが見いだされ、指導の方向性がイメージできることでしょう。

迎え入れるムードを高めるための具体策を請じる

形から入ることも時には大事な方略です。「お待ちしていました○○△子さん。ようこそ4南病棟へ」のように、ウェルカムボードに中途採用看護師のフルネームを書いてナースステーションに張り出せば、受け入れ側の看護師は中途採用看護師が入職する前に必ず1回はボードを目にし、名前を覚えることができます。

さらに、看護管理者や教育担当者のビジョンを行動に起こすという意味でも、「この中途採用看護師の力を借りて、病棟を少しでも前進させるつもりらしい」という意図は受け入れ側の看護師に伝わることでしょう。また、遊びやサプライズの要素を取り入れて、仲間として受け入れる気持ちを大げさに表現してもいいでしょう。

気恥ずかしいものの、びっくりするぐらい大歓迎されて嫌な気持ちになる人はあまりいません。そんな日常的な積み重ねが、モチベーションを育てていくのです。もし、入職前に時間が確保できるのなら、看護管理者がビジョンや中途採用看護師の許可を得た情報を提供し、中途採用看護師に対して受け入れ側の看護師ができることは何かについて、自由に意見を出す場の設定ができるとなおよいでしよう。

「こうしてください」、「ああしてください」という職位が上の人からの指示は、無意識的に反発される可能性があります。

「何をしてあげたら、不安が少なくなるかしら」

「私は初日のランチを1人で食べて、心細かったから、ランチに一緒に行くわ」

「なるほどね。じゃあ私は病棟ドクターの指示出しの特徴を教えようかな。早く知っておいたほうが困らないものね」

「私の受け持ち患者の××さんの処置には1回ついてもらって、オリエンテーションは私がするね。夜勤のとき、困るといけないから」

など、個人レベルで支援できることを考え、チームにそれを宣言する場を設定すると、受け入れ側の看護師たちの行動は能動的に変化するはずです。ここで注意すべきことは、中途採用看護師は、入職初期の時期はとくに私たちの想像以上に緊張した状況下におかれていることを改めて認識することです。

周りのスピードに乗り遅れるつらさ、以前の職場と方法が異なるため、以前はできていたのにスムーズにできないもどかしさ、受け入れ側の看護師のあいまいな指示に振り回されたのに「慣れていないから」と片づけられてしまうくやしさなど、中途採用看護師は経験があるがゆえにさまざまなストレスを感じます。

そのため、受け入れ側の看護師がいくらやさしく接したとしても、笑顔や感謝のフイードバックが返ってこない場合があるかもしれません。しかし、それに対して「まったく礼儀知らずだわ」と怒りたくなる気持ちを少し静めて、看護管理者と一緒に、なぜそのような態度をとったのか、それほどまでに緊張し不安を感じているのかを考える余裕も必要です。

このように入職後に起こりえる事態を予測し、あらかじめ受け入れ側の看護師に、新しい環境に適応する際の心理的ストレスなど、一般的知識を含めた情報を提供することで冷静な対応ができ、指導に効果を発揮するでしょう。

新しい考えや、やり方を受け入れる寛容さ

最後に重要なことは、中途採用看護師の強みや経験を活用し施設や部署をさらに発展させるためには、新しいやり方やほかの施設の方策でもよいものはどんどん導入すべきという、看護管理者=リーダーの明確な価値観を、折にふれて受け入れ側の看護師に示すことです。

人は反対意見、存在に気づくことで、その違いや自分の考えを確認するなどの学びが起こります。これがなければ、新しく施設に参入した中途採用看護師の知識や技術のほとんどが「この施設や部署では役にたたない」ものとして処理されてしまいます。

最後に、中途採用看護師さんへ知ってほしい

いままでのやり方を変えられるのではないかと不安に思う受け入れ側の看護師たちの気持ちに理解を示しつつ、毅然とした態度で何が大事なのかを繰り返し伝えるのです。

すべての受け入れ側の看護師が、新しい仲間に対して既存のやり方を振りかざすことなく、「それはよいアイデアだから、今後何とかこの施設でも実践できないか考えてほしい」といったかかわりをもつことができれば、中途採用看護師本人の自己効力感を高め、達成感をもたらすすばらしい機会となるでしょう。

さらに、多様性を許容できる施設や部署は、新しい問題が起こった際の選択肢が増えることにつながるため、今後起こりうる急激な環境変化に対応できることでしょう。

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