外来診療看護師の役割と手術室看護師の特別な仕事内容

病院やクリニックを受診した際に、「外来」で働いている看護師を見たことがある人も多いかと思います。外来にはさまざまな年齢や職業、疾患の人が通院しています。

以前に比べ入院期間が短くなったことや、医療技術が進歩したことで、外来でも内視鏡検査や日帰り手術、がん化学療法など、患者の心身への影響が大きい治療が行なわれるようになっています。

安全かつ安心できる医療を提供するための外来看護師の役割と仕事の流れをくわしくお伝えしていきます。看護師の立場からの現在の外来診療は、なかなか知りえないことばかりです。病院へ通うかたのお役にたてば幸いです。

超高齢社会を迎え、糖尿病や高血圧などの慢性疾患が増えた現在では、病気をもちながら地域で生活をしている人が増えています。このため、外来の場は、大変混雑した診療・治療の場となっていますが、安全かつ安心できる医療を提供することが求められているのです。

外来診療における看護師の役割

日本看護協会では、外来看護を「疾病を持ちながら地域で療養・社会生活を営む患者やその家族等に対し、安全で。安心。信頼される診療が行われるように、また生活が円滑に送れるように調整を図りながら看護職が診療の補助や療養上の世話を提供すること」と定義しています。

外来診療における看護師には、個々の患者の状況を的確に判断したうえで、診療の補助、患者、家族へのケアをタイムリーに行なう能力が求められるのです。

外来診療に通院する患者の6割は療養上の困難(健康だと感じる生活を送ることが困難)があると答えており(金子みね子ほか「外来看護提供システムの構築に関する研究」日本管理学会誌 )、外来の場での医療の充実は必要だと考えられます。

一方で、外来における看護師の業務と役割は、診察の介助に加え、混雑する外来の受診受付や電話対応などの事務的業務が多く、療養相談。指導に十分な時間を確保できないことも現実的な課題です。受診をする患者・家族にとって外来の場は、医療者に自分の身体のことを伝え、話す貴重なタイミングです。

医療依存度の高い外来患者について

医療依存度の高い外来患者
外来で病名告知を受ける患者 治療に関する意思決定を必要とする患者など
外来で侵襲性(痛みなど刺激や影響)の高い手術・処置・検査を受ける患者 化学療法、放射線療法、輸血、日帰り手術などを受ける患者など
急性期を脱し、早期退院した患者 リハビリ中の患者など
自己管理能力が確立していない患者 退院直後の患者、慢性疾患患者、高齢者など
慢性期で在宅療養する患者 日常生活のなかで急性増悪(症状が急に悪化)する可能性のある患者など
器具・装置を用いた医療処置が必要な患者 器具の選択を必要とする患者、器具や処置の管理が必要な患者、在宅酸素療法患者、自己導尿患者、ストーマ増設患者、自己注射など
これらの患者とともに家族への支援や指導も必要になつてくる

上の表のように、さまざまな医療を受けている患者が外来診療を受診しています。外来で働く看護師は、幅広い知識と専門的な看護技術を備えることと、受診する人の話に耳を傾け、その人の病気を管理する力や、症状に対処できる力を最大限に引き出すことを心がけることが大切です。

外来看護師の1日の仕事の流れ

外来には、多くの人が訪れます。外来の診療科は、単一のところもありますが、規模の大きい総合病院などは、外科、内科、眼科、皮膚科、検査科、外来治療部など、身体の部位や疾患、治療内容により細かい診療科に分かれます。

外来診療部門に勤務する看護師の役割は、各診療科によって異なりますが、どの科においても「個々の患者の状況を的確に判断したうえで、診療の補助、患者・家族へのケアをタイムリーに行なうこと」が、共通していえることです。

勤務は外来診療の開始前よリスタートします。外来の診療がはじまる前に、その日の外来の予約状況や診療体制を確認し、1日の準備をします。準備の際は、予約の入っている患者のカルテや検査記録を用意し、予定されている検査・治療に使用する医療器具の準備を万全に行ない、外来診療が円滑に進むよう備えます。

外来が開始し、受診する患者が来た際は、患者の体調や自宅での様子を聞きます。必要に応じて医師へあらかじめ報告し、必要な検査や治療内容の確認を診察の前にすることで、患者の状況に合わせ効率よく診療を行なうように努めます。

診察の結果、検査や手術、入院が必要になる人もいます。患者や家族へ治療や入院について説明を行ない、質問や疑間がないか話を聞き、その人が安心して治療や入院に臨めるように支援します。

外来を受診した当日に緊急入院になる人もいます。その際は、病棟や病床を管理する事務部門へ連絡して入院の手続きを進めながら、主治医が行なう応急処置の介助をします。同時に、入院が決まった患者の疾患の経過などについての情報をまとめ、その内容を入院する病棟の看護師へ申し送りを行ない、外来から入院、手術になる場合の備えを行ったり治療やケアの継続を図ります。

外来看護師の1日の流れの例

1日の準備 外来予約の確認
診察室の準備、点滴やケガの処置を行なう処置室の準備
外来の準備 8:00~ 、9:00~ など、病院やクリニックにより診療の開始時間は異なります
日勤業務 初診患者の問診
・医師の診察の介助、処置の実施
・外来検査(針生検や内視鏡検査など)の介助
・生活の仕方など、患者に対するアドバイスや指導、相談
・患者が緊急入院になつた場合、入院手続きを案内
お昼の休憩 勤務しているスタッフが交代で休憩をとる場合や、クリニックなどでは診療の合間にスタッフ全員が休憩をとります
業務終了 17100、19:00など病院やクリニックにより外来業務が終了する時間は異なります診療時間が長時間の場合は、朝から勤務するスタッフ、午後の外来時間から勤務するスタッフが交代をして勤務します。その場合は、スタッフの勤務により、終業時間は異なります。

手術室における看護師の仕事

手術室のナースには、2つの大きな役割があります。手術に直接関わる器械出しの看護師と、全体の進行に関わる外国りの看護師です。

手術室看護師はチームで成功に導く

手術がスムーズに進行するように、メスや摂子(医療用のピンセット)などのさまざまな器具をタイミングよく外科医の手に渡していくのが「器械出しの看護師」です。

器械出しの看護師には、外科医たちとの入念な打ち合わせと手術に関する詳細な知識が求められます。たとえば、出血が多いときには、止血のための器具を準備し、臨機応変に細やかな介助を行ないます。外科医との連携によって安全に手術が進行するように、的確な判断が求められる役割です。

術前に病棟に出かけ、患者を訪問する「術前訪問」からはじまり、病棟の看護師から患者の状態を引き継ぎ、麻酔の導入の介助、常に患者の状態の変化と手術の進行に気配りを行ない、手術全体がスムーズに進行するよう働くのが「外回りの看護師」の役割です。

手術が終了したら、リカバリールーム(回復室)において、麻酔覚醒直後の患者が不安定な時期を無事に乗り越えられるように、「息苦しくないか」「出血していないか」「痛みはどうか」などを観察し、看護を行ないます。状態が安定したら、病棟の看護師に引き継ぎます。

また、手術翌日に患者の「術後訪問」を行ない、「手術中に困ったことがなかったか」「皮膚のトラブルなどはなかったか」など、細やかな心配りをするのも外回りの看護師です。

手術室での様子

器械出しの看護師

手術室で器械出しをする看護師
【手術前の医師との打ち合わせ】
手術に必要な清潔な物品や器具を事前に準備し、手術の進行に合わせて医師に器具を手渡していくため、部位や手術方法などの事前の打ち合わせがスムーズな手術を行なうために不可欠です。

看護師と医師との信頼関係で手術を始めます

手術がはじまると、医師の手術の進行の様子を確認しながら、医師が手術に集中できるように、絶妙なタイミングで必要な器具を手渡していきます。知識と経験と医師との信頼関係が求められます。

外国りの看護師が手術室の安全確認をしていきます

外国りの看護師が手術が順調に進行するように、無影灯(手術用の照明)や患者の身体の位置を調整したり、タイムアウト(全員が手を止めて、安全確認を行なう)や出血量の確認をしたりと細やかに動きます。

手術室の様子です

手術台の周りには、人工呼吸器(器械によつて呼吸を助ける器械)やたくさんのモニター(身体の状態や麻酔の効き具合などを観るための器械)や電気メスなどが置かれています。患者にとつては、見慣れない光景です。

手術は、予定されて実施される場合のみでなく、患者の状態に合わせて、緊急に行なわれることがあります。どんな状況においても、冷静かつ的確な判断を手術室の看護師には求められます。

手術室看護師の一日の仕事の流れ

「手術室」は、治療の場です。中央の手術台を取り囲むように、モニターや電気メス、手術のための器械が並びます。また、手術中に感染を起こさないために、空気の流れも決められており、温度や湿度も調節されています。

患者は、外来や入院病棟から、手術着に着替え、キャップをかぶり緊張した状態で手術室に入室します。患者の不安を取り除くように、入室時には笑顔で温かく迎えるのが、「外回りの看護師」です。

患者は、手術台に横になり手術の準備に入ります。麻酔薬を使うことにより、痛みや不快を感じない、眠っているような状態になっていきます。この時、患者の自らの力で呼吸をしたり、体温を保ったりする機能が低下するため、血圧や体温が下がったりすることがあります。

手術室看護師は、これらの変化を素早く察知し、できるかぎり全身状態を安定した状態に保ち、手術からの速やかな回復を促す必要があります。

そのためには、看護師はモニターや患者の全身の観察、出血の状態などを把握し、手術を行なう医師と協働して、異常の早期発見と合併症予防を行なっていきます。

手術室看護師は、使われる麻酔薬の種類と効果、副作用を予測しています。そして、副作用の出現時には、素早く医師と連携して治療が行なえるように、薬や器具(たとえば、血圧低下時に血圧を上昇するための薬の準備や体温低下時に加温するための器具など)を手術前に点検し、準備しておきます。

外回りの看護師の1日の流れの例

7:30 手術室の物品や室温などの確認
麻酔科医の指示を確認、必要な薬剤などの準備
8:00 患者の受け入れ
病棟の看護師からの引き継ぎと患者の確認
8:10 手術開始に向けた準備
患者が寒くないか、 1つひとつの手術の前の処置を説明しながら、手術が安全に進むように準備を整えていく
8:30 手術開始
手術の内容や部位、患者の状態により手術時間は変化する。手術がはじまると、手術全体がスムーズにかつ、安全に進行するように、細やかに動く。
(休憩は、看護師チーム内で適宜交代してとる)
14:00 手術終了。患者をリカバリー(回復)室に移動する
麻酔から患者が目覚め、全身の状態が安定するまで、リカバリー室で、看護を行なう
15:00 病棟看護師への患者の引き継ぎ
患者の状態が落ち着いていたら、病棟へ患者を送り出し、記録や手術室の片づけを行なう
15:30 明日の手術患者の病室に、術前訪間に行く
明日の手術の準備を整えるとともに、手術を担当する看護師として、顔合わせとアレルギーなどの注意事項について確認をする
16:00 リーダーヘの報告
記録の整理
勉強

また、手術の流れにより、医師の次の行動や治療を予測する力も求められ、執刀する医師や麻酔科医と細やかにコミュニケーションをとりながら必要な器具を準備し、介助を行なっていきます。

まとめ

手術は、医療チームで行なう人のいのちと直結する大切な治療なのです。そのため、手術室の看護師にも、深い知識と経験、医療チームメンバーや患者との信頼関係が求められています。

また、外来診療看護師には、患者の状況を的確に判断、外来診療の補助、患者へのサポート、家族への配慮も行い、常時ケアができる体制をととのえる能力が求められます。

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