看護師の役割~看護師は患者のケア方法を考える

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アドヒアランスを考慮して健康管理を提案する看護師

病気をもつ人にとっては、生活すること自体が大変です。足をケガしたり、痛い部分があったり、入院している患者にとっては、 1日1日を送ることがとても大変なのです。

病気になると、朝起きて顔を洗う、トイレに行く……、そんな何気ない生活の営みを思うようにできなくなります。朝から看護師は、笑顔で患者の顔を温かいタオルで拭き、トイレに行くのを手伝います。看護師の役割は、患者の病気の状態に合わせ、どのような方法が一番よいかを考えながらケア方法を組み立てていきます。

患者の心身の評価を行ない、看護の営みを考える過程を看護アセスメントといいますが、詳細を事例に沿ってご紹介していきます。

手術は効果の高い治療ですが、同時に身体にストレスも与えます。手術を受けた患者が、そのストレスから順調に回復していけるように、できるだけ早く歩いたり、自分で生活できるように援助するのも役割の一つです。

患者は動いた刺激で手術をした部分が痛くならないか不安になりますが、看護師は、痛くならないような動き方や鎮痛剤の使用方法を教え、身体を動かすことで手術という大きなイベントからの回復を促す必要があることを伝えます。患者の身体をよりよい状態に戻すために導いていくのです。

ベッドに寝たきりの状態の患者もいます。関節は、動かさないと硬くなり動かせなくなります。そのため、たとえ意識がなくても、看護師は患者の関節を動かすことで、その人が動ける状態になった際に、自分の足で歩けるように関節の柔軟性を保ち、身体の機能を守っています。

看護師の役割は検査・治療を受けるときの伴走者

さまざまな検査の種類

検体検査 血液や体液などの身体から採取した試料を調べる検査
例:一般、血液、生化学、血清、細菌、病理(細胞診・組織診)
呼吸器検査 経皮的動脈血酸素飽和度検査、肺機能検査、血液ガス検査、12誘導心電図、心電図モニター、アレルギー検査
画像診断 レントゲン単純撮影、造影検査、CT、超音波検査、MRI、P日、核医学検査、内視鏡検査など

病気の治療には、さまざまな方法があります。そのため、看護師には、点滴や薬による「内科的な治療」から、手術による「外科的な治療」まで幅広い知識が求められます。薬を適切な時間に内服してもらうだけではなく、その薬による効果の確認をし、起こり得る副作用の説明や観察をしていきます。

安全かつスムーズに検査が終わるように介助する

医師や薬剤師との情報の共有や治療方針の話し合いも大切な役割です。

病院で行なわれる検査は、内視鏡や超音波による生理的検査から、採血や外科的に組織を採る検査まで、多くの種類があります。看護師は、検査が正確にかつ痛みなくスムーズに行なわれるように準備や介助をします。医師や検査技師と連携しながら、患者に安心感を与えるように声をかけ、環境を整えていきます。

たとえば、胃の内視鏡検査の場合は、前日の夜から食事をとることができなくなり、当日の朝からは、水分もとれません。検査の前には、胃の働きを弱めるための注射をしますが、その薬を使ってよいかどうか、身体の状態を確認しなくてはなりません(薬を使わないで検査する場合もあります)。

次に、内視鏡という太い管を喉からスムーズにとおすために、局所麻酔薬を喉の部分に数分間含んでもらう必要があります。その後、左向きに横になってもらい検査がはじまりますが、苦痛が少なくなるように医師が静脈に薬を注射します。

なお、検査の最中に胃の粘膜組織をとる生検(組織の一部を採取し、顕微鏡で組織を見る検査)を行なうようであれば、介助をします。検査が終了してからも、喉の麻酔が切れるまでの注意事項を伝え、感染予防のために検査器具の洗浄消毒を行ないます。

内視鏡検査の目的や手順、麻酔薬や器具のことなど、看護師は多くの知識を用いながら、安全かつスムーズに検査が終了するように介助しているのです。

情報をカンファレンスで共有し、方向性を決める役割

たとえば、点滴治療を行なうときには、薬剤の知識をもとに点滴を準備し、静脈に入っている管から確実に点滴を入れなくてはなりません。そのときには、その薬がどこに作用してどれぐらいで効いてくるのか、また、副作用としてどのようなことが生じる危険があるのかを細やかに観察するとともに、異常の早期発見に努めます。

また、交替勤務でチームで看護を行なう看護師たちは、医療を安全に行なうために、常に情報を共有して確認します。そのためにも、方向性を話し合って統一したケアをするために、カンファレンスがとても大切です。

日本はいま、豊かな食生活と高齢化社会により生活習慣病が増えています。厚生労働省によると、現在、日本人の約3分の2は生活習慣病が原因で亡くなっています。

生活習慣病は、食事や運動などの長年の生活習慣が大きな要因になる病気です。糖尿病と診断された患者が病気を治療するためには、患者自身が自分の身体と生活習慣に気づき、自らの生活を変えていこうと考えることが大切です。そのためには、看護師は知識の提供や食事のカロリー計算、運動の方法とその効果など、生活全般についてサポートしていきます。

実際に、採血を行ないながら血糖値を一緒に確認し、その人に合った生活を考えていくのです。

患者には、夜働く仕事の人もいれば、高齢で足が悪いために歩けない人もいます。その人その人の食事や生活環境に応じて、アドバイスをしていきます。

病棟で看護師が行なうことの例

  1. 点滴薬の準備
    事前準備が可能な薬は、薬剤師が調剤室で準備してから病棟に届きます。直前に溶解や調合が必要な点滴薬の準備は、看護師が行ないます。医師の指示に基づき、薬理学の知識と調合の技術を用いて正しい手順で準備します。
    薬剤の確認を複数の看護師で行ない、患者に名乗ってもらい、患者の手首につけているネームバンドとバーコード管理による赤外線認証を行ない、誤認を防いでいます。
  2. 情報の共有と確認
    電子カルテの情報を共有、確認していきます。薬液1つとっても、日によつて投与する速度が異なっていたりします。情報交換しながら、常に確認をする必要があります。
  3. 毎日行う、チームカンフアレンス
    受けもった患者の看護の方向性や困つていることの話し合い、勉強会にも使われます。1人では解決できないことでも、チームで意見を出し合いながら問題解決を模索したり、患者本人の病気に対する認識をどうすれば高めることができるのかを意見交換します。

それでも解決がむずかしい場合は、認定看護師や専門看護師(後述します)のスーパーバイズを受けることもあります。チームとしての、方向性を決める大切な場です。

<例>
糖尿病の患者個々に合わせたアドバイス

夜働く患者の場合 高齢で足の悪い患者の場合
24時間の過ごし方、食事のとり方(外食のとり方、3食のバランス、嗜好品のとり方など)、薬を注射するタイミング、働きながら可能な運動方法と十分な休息のとり方 家や周囲の状況を確認し、安全に動ける範囲でできる運動を具体的に考える、カロリー制限食をつくれなければ宅食の情報提供や薬の管理方法の工夫、家族の協力体制を得る

看護師は、患者の心身の状態をアセスメント、ケアする

看護師は昔から「白衣の天使」というイメージをもたれることも多いです。しかし、病気から回復するためには、患者自身が自分の身体と相談しながら、健康管理を行なうことが大切です。そのために、時には看護師は患者を、厳しく見守る役割を担うことがあります。

「患者に早く元気になって退院してほしい」、それが厳しくも優しい看護師の願いなのです。

また、病院には、突然の病いで身体が不自由になる患者もいます。効き手であった右手が使えなくなってしまった場合、使い慣れない左手で毎回食事をとらなければなりません。そのためには、自助具という握りやすいスプーンが必要になったり、機能訓練をする必要もあります。

また、機能の低下した右手もケアしてあげなくてはいけません。退院後の家の状態に合わせて、主治医や理学療法士、作業療法士らとともに多職種チームで話し合い、リハビリ室のみならず病棟でも、どのような訓練や工夫を行なえば患者の生活がよりよい方向に向かうことができるのかを情報共有、意見交換しながら患者を支えていきます。

アドヒアランス

「アドヒアランス」は、人が自分の身体を医療者任せにせず、自ら積極的に健康管理していくことを指します。WHO(世界保健機構)は、2001年に「アドヒアランスという考え方を推進する」という方向性を示しました。

この考え方に基づくと、患者と看護師はお互いに「よきパ― トナー」になります。よきパートナーとしての看護師とは、医療の専門職として、患者の状態を心身ともにアセスメントし、必要に応じて患者を支える役割をとることです。それには、正確な知識と相手の立場にたって思いやる気持ちが求められています。

「アドヒアランス(adherence)」とは、患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けることを意味し、従来から用いられている医療者の指示に患者がどの程度従うかだけを評価する「コンプライアンス(compliance)」の考え方とは区別して用いられている。
近年、医療において、コンプライアンスではなく、患者自身が主体となって自分自身の医療に自分で責任を持って治療法を守るというアドヒアランスの考え方が主流になりつつある。
例えば、薬物療法におけるコンプライアンスは、決められたとおりに患者が正しく服用することを意味し、医師・薬剤師の指示どおりに服薬する場合に、服薬コンプライアンスが良いと評価される。このように、服薬コンプライアンスが、医師等が患者に服薬を遵守させるというあくまでも医療者が主体であるのに対して、服薬アドヒアランスは、薬の作用・副作用について十分な説明を受け納得した上で、患者自身が主体的・能動的・積極的に服薬を行うことを意味している。アドヒアランスを良好に保つためには、アドヒアランスに影響を与える因子「治療内容(薬剤や処方など)」、「患者自身に関した因子」、「医療者側、および患者-治療者との治療関係に関した因子」、「環境、家族や援助者に関した因子」等を考慮しつつ、医療者が患者と共に考え、相談の上決定していく必要があるとされている。http://www.pharm.or.jp/dictionary/

看護師ガイドライン

指標・指針・誘導指標・指導目標などと訳される。

国や自治体や団体などが、あるテーマに関する取り組みの指針や判断基準の目安、守るのが好ましいとされる規範、などを明文化して示しているものである。

法的な拘束力はないが

社会の複雑化、価値観の多様化など時代の変化にともない、現在、種々のガイドラインが示されており、それらに法的な拘束力はない。しかし、法律を具体的に解釈・解説しているものなどは、ここでいう看護師に対してなんらかの「縛り」のようなものを与える性質を持つ場合がある。

たとえば個人情報保護法は、記載が抽象的で具体的な基準を読み取りにくい面があるため、経済産業省などがガイドラインで具体的に示しており、その内容どおりに事業所が取り組まなかった場合には行政処分の対象となることもあるのだ。

診療ガイドラインは2000年ごろから作成されるようになり、現在では多数存在し、MINDS(マインズ、日本医療機能評価機構EBM医療情報部のデータベース配信事業)では評価、選定したガイドラインをデータベース化して医療提供者向け、一般向けに分けて公開している。

医師のあいだでは、ガイドラインといえば診療ガイドラインを指すといっていいほどその活用が盛んで、グレード(有効性による分類)やエビデンスレベル(研究デザインによる分類)などにほかに、さまざまな評価手法があり、利益相反の見地も評価ポイントの一つである。

また、診療ガイドラインについて、最新・最善のエビデンスという新鮮な餌を与えて「作成」←「普及」← 「実行」← 「評価・フィードバック」← 「改訂」のサイクルを繰り返さなければ病気になりやがては死んでしまう、と「いきもの」に見立てて取り扱いが解説されることもある。

2013年3月に「看護職の夜勤・交代制勤務の関するガイドライン」が作成

睡眠法や食事のタイミングまで具体的に示され実用性の高い内容となっている。冊子の配布とネット上でのデータ公開がなされ、現在、普及がはじまったところである。

このガイドラインが、丈夫でよく働き決して死なないで機能し続けるように、ユーザーである医療機関や看護管理者や看護スタッフが、「実行」「評価・フィードバック」に注力できる環境が、看護職の命を救うことになり、ひいては看護が守られる。

さまざまなジャンルで作成されているガイドライン

「ガイドライン」は以下のように国内のインフラの中枢から生活の細部に至るまで多種多様のものが存在し、考え方や運用。制作、見直しの手順などが記されている。

  • 小個人情報保護ガイドライン(経済産業省)
  • 小日米防衛協力のためのガイドライン(防衛省)
  • 小情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(首相官邸/情報通信技術戦略本部)
  • 小福祉避難所設置・運営に関するガイドライン(厚生労働省)
  • 小安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン(国土交通省)
  • 小診療ガイドライン(各医学学会)
  • 小電気通信サービスの広告表示に関する自主基準及びガイドライン(電気通信サービス向上推進協議会)
  • 小子供用衣類の設計に関する安全対策ガイドライン(全日本婦人子供服工業連合会)

診療ガイドライン

1999年から2001年に国の科学研究を推進する施策により厚生労働科学研究費補助金が交付され、ガイドライン作成が盛んになった。600~700あるとされるなか、MINDSには独自の評価。選定・掲載手順(左図)を経たものが130件(書誌情報130件中、内容掲載90件/2013年4月現在)掲載されている。

ガイドラインによって医療の標準化および効率化が図られる一方、医療の受け手である一般市民・患者はガイドライン」を日常生活の場で用いられるものと重ねて考えて混乱したり、一すべての患者にとって最善の治療法」と誤解したりして正しい理解は低いといわれる。

また、医師の中には標準的治療をし尽くした患者に「治療の術はもうない」と告げ、患者を絶望の淵に立たせる…という話も耳にする。本来、医療は一人ひとりの個別性を反映し、実践する「テーラーメイド医療」であるべきだが、ガイドラインの誤ったとらえ方によって横並び医療に陥っている印象がぬぐえない。

が、同時に個人の遺伝子情報、体質、病状等を基に行われる分子標的薬治療や再生医療の開発によって、新たなデーラーメイドの時代が動いている。

改訂サイクルの課題

医療を評価するクリニカルインディケーター(臨床指標)等を導入しながらサイクルを進め、エビデンスの構築と新たな医療を導入したガイドラインの進化が課題となる。

患者の生活を24時間、見守る看護師

看護師は、24時間、患者の生命と生活を守るという社会的にも非常に大きな役割を担った専門職です。24時間365日を病棟の看護師チームで、交代で看護を行ないます。


出典:youtube.com

2交代勤務における日勤帯の看護師の仕事の流れ(例)

8:00 申し送り。情報収集
夜勤の担当者から、患者の様子を引き継ぎ、 1日の計画をチームで確認します。
8:30 患者の病室を訪間、受けもちの挨拶をし、今日の予定を確認します。
全身状態の観察と治療・検査の介助:治療の計画に沿つて点滴や薬の服用がきちんと行なわれているかを確認し、検査や手術室に患者を送り出します。
生活の援助や清潔ケア:自分で入浴できない患者の身体を温かいタオルで拭いたり、器械浴槽を用いて寝たきりの患者をお風呂に入れます。じょくそぅオムツの交換をし、褥清(床ずれ)ができないように身体の向きを変えます。
12:00 食事の配膳・介助
交代で昼の休憩をとります。
13:00~ 13:30 カンフアレンス
患者の看護方針について、チームで話し合います。
13:30~ 15:30 全身状態の観察と治療・検査の介助
生活の援助や清潔ケア
15:30 リーダーナースヘの報告と今後の看護の方向性の確認
16:00 夜勤帯の看護師への申し送り・記録 勤務終了

現在、日本の病院では、場の特性に応じて、3交代勤務と2交代勤務が行なわれています。

  1. 3交代勤務では、日勤帯・準夜勤帯・深夜勤帯の8時間ごとに看護師が入れ替わります。
  2. 2交代勤務では、日勤帯。夜勤帯(十分な仮眠を含みます)で看護師が入れ替わります。

病棟の日中は、家族の面会や検査。治療、入退院もあり、とても賑やかです。しかし、夜は、病気と闘う患者にとっては家族の面会も終わり、長く心細い時間でもあります。眠れない患者が不安な気持ちを看護師に打ち明けたりするなど、昼間とは異なる一面をのぞかせます。

看護師は病室を1つひとつ見回り、時には見守り、時には眠れない患者にそっと声をかけていきます。病状が重い患者には、昼も夜も関係ありません。夜も治療が続き、状態が変わる患者もいます。

24時間を通じて見守る看護師は、患者にとって一番身近な医療者です。交代制で24時間看護を提供する看護師は、チームで看護を行ないます。どの看護師が担当しても、 1人の患者に提供される看護は同じ質が保たれ、方向性がきちんと決められている必要があります。

そのために、患者・家族の状況をタイムリーに判断して、診療の補助やケアを行なうために看護アセスメントを学び、進歩する医学の知識を深め、カンファレンスで話し合いを行ないます。チーム内のどの看護師が担当しても、安心して患者が看護を受けられるように、常に情報を共有しながら看護の力を磨いていく必要があります。

看護師のワークライフバランス

夜勤も含む交代制勤務は、看護師自身の健康・生活や人生設計にも大きな影響を与えます。2013年2月、看護職の職能団体である日本看護協会は、「看護師の夜勤。交代制勤務に関するガイドライン」として生涯を通じて看護師としてだけではなく、看護師個人の生活をも守るために、各職場で取り組み可能なガイドラインを作成しました。

看護師自身が健康で豊かな人生を歩むことが、よりよい看護を提供することにつながるということを、改めて提言しています。

患者を守ること、そして、 1人の人間として看護師自身が生活を大切にしながら、生涯職業人として働くために、多様な働き方を組み合わせることなどが推奨されています。ワークライフバランスの意味、簡単な知識については、看護師のワークライフバランスと諸外国における看護職との比較をご覧ください。

看護部門の管理者、看護師長の役割

看護師長は看護部門の管理者として、 1つの部門の業務やスタッフを管理し、その部署の看護サービスに対して責任と権限をもつ役職です。

看護師長には、日々接する患者や家族へのケアの知識や技術を磨くだけではなく、統括する部署の業務が安全に行なわれ、スタッフが円滑に仕事を行なう体制づくりを整えるための役割を担う管理能力が必要になります。

看護師長になるには、看護資格を得て就職したあと、臨床現場のなかである程度の経験を積み、看護の実践力を高めると同時に、業務をマネジメントする力を身につけることが必要です。医療機関によっては、看護管理に必要な知識などを学ぶ「看護管理者コース」の勉強会を設けています。

また、ほかにも、病院の組織管理や教育を行なう者が、部署の師長や副師長を担う看護師に、日本看護協会が実施する「認定看護管理者ファーストレベル」「認定看護管理者セカンドレベル」という講習会の受講を推奨しているところもあります。

看護サービスは安全で質の高くなければならない

看護師長は、病院全体の看護師長が参加する会議や委員会に出席し、各部門や病院で取り組む看護ケアを検討したり、院内の医療体制について医師部門や検査部門など、ほかの職種の部門管理者と意見交換やディスカッションを行ないます。

また、スタッフの勤務表を作成し、勤務体制を管理し、医療物品や施設状況の点検などの管理を行ない、安全でかつ質の高い看護サービスのための部門管理をしています。

医師に専門医制度があるように、看護師にも資格認定制度が導入されている。看護の特定分野について高いスキルと知識を持った看護師を認定しようというもので、大きく分けて専門看護師と認定看護師、認定看護管理者という3つの資格がある。働き方や待遇の面でもメリットがあり、資格取得者は年々増加している。 資格認定制度 | 日本看護協会

専門看護師と認定看護師について(2008年8月現在)

    看護名 特定年月 認定開始年月 英語表記 分野の特徴
がん看護 1995.11 1996.6 Cancer Nursing がん患者の身体的・精神的な苦痛を理解し、患者やその家族に対してQOL(生活の質)の視点に立った水準の高い看護を提供する。
精神看護 1995.11 1996.6 Psychiatric Mental Health Nursing 精神疾患患者に対して水準の高い看護を提供する。また、一般病院でも心のケアを行う「リエゾン精神看護」の役割を提供する。
地域看護 1996.11 1997.6 Community Health Nursing 産業保健、学校保健、保健行政、在宅ケアのいずれかの領域において水準の高い看護を提供し、地域の保健医療福祉の発展に貢献する。
老人看護 2001.7 2002.5 Gerontological Nursing 高齢者が入院・入所・利用する施設において、認知症や嚥下障害などをはじめとする複雑な健康問題を持つ高齢者のQOLを向上させるために水準の高い看護を提供する。
小児看護 2001.11 2002.5 Child Health Nursing 子どもたちが健やかに成長・発達していけるように療養生活を支援し、他の医療スタッフと連携して水準の高い看護を提供する。
母性看護 2002.7 2003.11 Women’s Health Nursing 女性と母子に対する専門看護を行う。主たる役割は、周産期母子援助、女性の健康への援助に分けられる。
慢性疾患看護 2003.7 2004.3 Chronic Care Nursing 生活習慣病の予防や、慢性的な心身の不調とともに生きる人々に対する慢性疾患の管理、健康増進、療養支援などに関する水準の高い看護を行う。
急性・重症患者看護 2004.7 2005.3 Critical Care Nursing 緊急度や重症度の高い患者に対して集中的な看護を提供し、患者本人とその家族の支援、医療スタッフ間の調整などを行い、最善の医療が提供されるよう支援する。
感染症看護 2006.7 2006.11 Infection Control Nursing 施設や地域における個人や集団の感染予防と発生時の適切な対策に従事するとともに感染症の患者に対して水準の高い看護を提供する。
家族支援 2008.4 2008.11 Family Health Nursing 患者の回復を促進するために家族を支援する。患者を含む家族本来のセルフケア機能を高め、主体的に問題解決できるよう身体的、精神的、社会的に支援し、水準の高い看護を提供する。
在宅看護 2012.5 2012.12 Home Care Nursing 在宅で療養する対象者及びその家族が、個々の生活の場で日常生活を送りながら在宅療養を続けることを支援する。また、在宅看護における新たなケアシステムの構築や既存のケアサービスの連携促進を図り、水準の高い看護を提供する。
遺伝看護 2016.11 2017.12
誕生見込み
Genetics Nursing 対象者の遺伝的課題を見極め、診断・予防・治療に伴う意思決定支援とQOL向上を目指した生涯にわたる療養生活支援を行い、世代を超えて必要な医療・ケアを受けることができる体制の構築とゲノム医療の発展に貢献する。
災害看護 2016.11 2017.12
誕生見込み
Disaster Nursing 災害の特性をふまえ、限られた人的・物的資源の中でメンタルヘルスを含む適切な看護を提供する。平時から多職種や行政等と連携・協働し、減災・防災体制の構築と災害看護の発展に貢献する。

認定看護分野一覧

分野名 特定年月 認定開始年月 英語表記 知識と技術(一部)
救急看護 1995.11 1997.6 Emergency Nursing
  • ・救急医療現場における病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施
  • ・災害時における急性期の医療ニーズに対するケア
  • ・危機状況にある患者・家族への早期的介入および支援
皮膚・排泄ケア 1995.11 1997.6 Wound, Ostomy and Continence Nursing
  • ・褥瘡などの創傷管理およびストーマ、失禁等の排泄管理
  • 患者・家族の自己管理およびセルフケア支援
集中ケア 1997.10 1999.6 Intensive Care
  • ・生命の危機状態にある患者の病態変化を予測した重篤化の予防
  • ・廃用症候群などの二次的合併症の予防および回復のための早期リハビリテーションの実施(体位調整、摂食嚥下訓練等)
緩和ケア 1998.5 1999.6 Palliative Care
  • ・疼痛、呼吸困難、全身倦怠感、浮腫などの苦痛症状の緩和
  • ・患者・家族への喪失と悲嘆のケア
がん化学療法看護 1998.5 2001.8 Cancer Chemotherapy Nursing
  • ・がん化学療法薬の安全な取り扱いと適切な投与管理
  • ・副作用症状の緩和およびセルフケア支援
がん性疼痛看護 1998.5 1999.6 Cancer Pain Management Nursing
  • ・痛みの総合的な評価と個別的ケア
  • 薬剤の適切な使用および疼痛緩和
訪問看護 1998.11 2006.7 Visiting Nursing
  • ・在宅療養者の主体性を尊重したセルフケア支援およびケースマネジメント看護技術の提供と管理
感染管理 1998.11 2001.8 Infection Control
  • ・医療関連感染サーベイランスの実践
  • 各施設の状況の評価と感染予防・管理システムの構築
糖尿病看護 2000.2 2002.8 Diabetes Nursing
  • ・血糖パターンマネジメント、フットケア等の疾病管理および療養生活支援
不妊症看護 2000.2 2003.8 Infertility Nursing
  • ・生殖医療を受けるカップルへの必要な情報提供および自己決定の支援
新生児集中ケア 2001.7 2005.8 Neonatal Intensive Care
  • ・ハイリスク新生児の病態変化を予測した重篤化の予防
  • ・生理学的安定と発育促進のためのケアおよび親子関係形成のための支援
透析看護 2003.7 2005.8 Dialysis Nursing
  • ・安全かつ安楽な透析治療の管理
  • ・長期療養生活におけるセルフケア支援および自己決定の支援
手術看護 2003.7 2005.8 Perioperative Nursing
  • ・手術侵襲を最小限にし、二次的合併症を予防するための安全管理(体温・体位管理、手術機材・機器の適切な管理等)
  • ・周手術期(術前・中・後)における継続看護の実践
乳がん看護 2003.11 2006.7 Breast Cancer Nursing
  • ・集学的治療を受ける患者のセルフケアおよび自己決定の支援
  • ・ボディイメージの変容による心理・社会的問題に対する支援
摂食・嚥下障害看護 2004.7 2006.7 Dysphagia Nursing
  • ・摂食・嚥下機能の評価および誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の予防
  • ・適切かつ安全な摂食・嚥下訓練の選択および実施
小児救急看護 2004.11 2006.7 Pediatric Emergency Nursing
  • ・救急時の子どもの病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施
  • ・育児不安、虐待への対応と子どもと親の権利擁護
認知症看護 2004.11 2006.7 Dementia Nursing
  • ・認知症の各期に応じた療養環境の調整およびケア体制の構築
  • ・行動心理症状の緩和・予防
脳卒中リハビリテーション看護 2008.2 2010.6 Stroke Rehabilitation Nursing
  • ・脳卒中患者の重篤化を予防するためのモニタリングとケア
  • ・活動性維持・促進のための早期リハビリテーション
  • ・急性期・回復期・維持期における生活再構築のための機能回復支援
がん放射線療法看護 2008.5 2010.6 Radiation Therapy Nursing
  • ・がん放射線治療に伴う副作用症状の予防、緩和およびセルフケア支援
  • ・安全・安楽な治療環境の提供
慢性呼吸器疾患看護 2010.2 2012.6 Chronic Respiratory Nursing
  • ・安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた呼吸器機能の評価及び呼吸管理
  • ・呼吸機能維持・向上のための呼吸リハビリテーションの実施
  • ・急性増悪予防のためのセルフケア支援
慢性心不全看護 2010.2 2012.6 Chronic Heart Failure Nursing
  • ・安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた生活調整及びセルフケア支援
  • ・心不全増悪因子の評価およびモニタリング

看護師長は、スタッフの部署での役割分担や、個々のスタッフの看護の専門職としてのキャリア育成のために、定期的に面談を行ないます。

そのスタッフの課題や今後の目標をともに考え、明確にしていくことをとおして、スタッフの仕事に対するモチベーションや、専門職としてのステップアップにつなげていきます。これらをふまえて、看護師長はその部門の目標を掲げ、業務の見直しや整理、スタッフの役割分担や育成計画を考えながら、管理業務を行なっているのです。

看護部長~看護部門のトップ

看護部長は、看護部が進むべき方向を示し、日標を達成するための組織づくりをするというトップ。マネージメントの役割を担っています。

簡単にいってしまうと看護職員、看護師長のまとめ役で、看護部門のトップです。つまり、看護部長は、看護部門にいる人や設備などの全体の管理や、看護部門と関係する他の部門との連携をとり、看護部門と医療成績の向上を図ります。

具体的な仕事は、「看護部の理念や目標を周知すること」「看護部の事業計画や予算に関すること」「看護部の人事や労務に関すること」「看護ケアの質の向上をめざした業務改善に関すること」などです。看護部門の全体に目を配り管理する役割を担っています。看護部長は多くの仕事を担っているため、何を自分が行ない、何を人に委ねるのかをよく考え、業務を進めていきます。

看護部長に欠かせないものは、看護師長と看護職員に看護部が目指す方向づけをし、その組織をつくっていくというマネージメント能力です。

看護部長は、看護師長や看護職員という看護部内だけでなく、病院長や看護部門以外との連携もとても大切です。相手の立場を理解しようとする心構えをもって、よい関係を築くことや、交渉能力も必要です。

毎日起こるさまざまな問題を、ほかの人が理解できるように論理的に説明し、問題解決をする能力も必要です。また、病院によっては、看護部長が、病院の副院長を兼ねている所もあり、その場合、看護部門のマネージメントとともに、病院全体の運営・管理を担うことになります。

まとめ

患者が新たな生活スタイルを築こうとする力を兼ね備えていることを信じ、看護師として焦ることなくそばで見守ることができ、患者のとらえ方によって、看護の関わり方は変わるのです。

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